著者
青柳 美樹 髙山 裕子 多賀 昌江
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.9-16, 2020 (Released:2020-11-17)
参考文献数
19

目的:夫の海外赴任に同行する妻の現地相談相手の有無と社会参加率の滞在期間別の比率の差と変化を明らかにすることを目的とした.方法:2016年と2017年にWeb調査を実施し,χ2検定または正確確率検定,CochranQ検定,McNemar検定を用いて差・変化を分析した.結果:1~3年未満群と5~10年未満群において,人との付き合い,特に日本人友人との付き合いは2017年に減少していた.一方で,相談相手のいる妻は増加していた.また,1~3年未満群では,2016年の社会参加率が他群よりも低かった.相談相手・社会参加ともにない妻,または夫との関わりのみの妻は両年とも10%を超え,同一者の傾向にあった.考察:社会参加や人との付き合いを縮小する期間,または関わりを持たない期間を有する妻が一定数いる可能性が推察された.妻が滞在期間中に孤立せず安定したメンタルヘルスを保つための継続的な支援方法を産業看護職は現地関係者と協働して検討する必要があると考える.
著者
多賀 昌江
出版者
札幌市立大学
雑誌
札幌市立大学研究論文集 = SCU journal of Design & Nursing (ISSN:18819427)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.3-14, 2015-06-30

Japanese women find the sound of going to the toilet 'embarrassing' and flushing the toilet to drown out this sound has taken place since the Edo period. Such a 'Bathroom Sound Culture' still exists today in the form of a device that plays the sound of flushing water. In this study we investigated the development of this device and in what situations women use it and how they feel when they do. The author contacted the company that developed the device by email and telephone, as well as undertaking a literature review to investigate changes made to the device after development. Finally, 100 Japanese women were surveyed. The device was found to be first manufactured in 1979 to conserve water. Nowadays, the device is smaller, attached to the toilet wall and a portable version is also available. Of the women surveyed, 99% had drowned out the sound when they went to the toilet and almost always used the device when available. In particular, they did so when in a public toilet with others present (88%); when in someone else's house and they may be heard (74%); when defecating and likely to pass wind (49%); and when at home and others may hear (46%). These results suggest that Japanese women are particularly sensitive to the presence of others when they use the toilet and that out of respect for others, as well as to avoid their own particular sense of shame, drowning out the sound when they use the toilet has become a normal event in Japanese culture.女性が排尿時の音を「恥」と認識し,トイレの水を排泄と同時に流すことで消音する行為は,日本では江戸時代から行われてきた.このような「トイレ文化("Bathroom Sound Culture")」は,日本人女性の消音行為や排泄時の音を消音するためのトイレ用擬似音装置として現代まで伝承されている.研究方法は,トイレ用擬似音装置を開発した日本企業に開発経緯について電話および E-mail による聞き取りを行った.その後,開発された擬似音装置の変容について検討するために文献調査を行った.また,女性がトイレで消音行為を行う際の心理と消音環境を明らかにすることを目的として日本人女性100 人に質問調査を実施した.トイレ用擬似音装置は節水目的に1979年に開発され,現在では装置は小型化し,トイレ内蔵型や携帯型も販売されている.排泄時の消音行為は99%の対象者が経験し,擬音装置が設置されている場合には多用されていた.対象者が排泄時に消音する機会の多いトイレの環境は,1)公共のトイレで他者がいる場合(88%),2)他人の家のトイレで排泄の音が外に聞こえる可能性のある場合(74%),3)大便やおならなど大きな音のする可能性のある場合(49%),4)自宅のトイレで他者に排泄の音が聞こえる可能性がある場合(46%)となった.女性の消音行為は,他者の存在を強く意識し,他者への配慮と排泄の音に対する特別な羞恥心による普遍的な文化であることが示唆された.
著者
柿山 浩一郎 多賀 昌江 城間 祥之 スーディ・神崎 和代
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.337-343, 2016 (Released:2016-04-28)
参考文献数
8

It is important to clarify the potential users' value system when one designs a new product. In this research, the authors reasoned that it is effective for the users to learn various evaluation standards. The first purpose of this research is to lift the potential users with different knowledge and experience to a level which enables them to evaluate a product appropriately by an on-line questionnaire research method. The second purpose of this research is to explicate the elements of a burial cradle that may heal a grief for stillborn. With two purposes in mind, the authors conducted an on-line questionnaire and analyzed the results. As the results, an on-line questionnaire method has increased user's understanding of the product and its benefits. Therefore this product design method could be a useful tool in a product evaluation and its standardization. It may also allow the researchers to obtain more accurate product evaluation from the subjects.
著者
安達 真由美 水上 尚典 半田 康 多賀 昌江
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

一般に、外部の音は子宮に届きにくいが250 Hz(真ん中のドあたり)以下の音は届く。本研究では、チェロの曲を用い、妊婦がヘッドフォンを通して聴いている時と、妊婦が波のような音を聴いている間にスピーカーを通して音楽が提示された時の胎動の様子を、聴覚システムが完成する以前(27週齢以前)と以降(28週齢以降)で、18組の妊婦と胎児を対象に縦断的に比較した。その結果、28週齢以降において、ヘッドフォン提示時よりもスピーカー提示時の方が、安静時よりも頻繁に四肢が動いていた。また、28週齢以降には、妊婦がヘッドフォンで楽しい音楽を聴取しているときよりも優しい音楽を聴取しているときの方がより動いていた。
著者
安達 真由美 金内 優典 半田 康 多賀 昌江
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では78人の妊婦を18~22週、23~27週、28~32週、33~36週に分け、音楽に対する生理・心理的反応、気分、気質、普段の食生活、ストレス解消行動における妊婦の個人差が、音楽に対する胎児の動きとどう関連するのか、また、ヘッドフォンを通して妊婦が音楽を聴いている時と、家庭用スピーカーから普通の音量で胎児のみが音楽に接触している時の違いを探究した。 その結果、週齢および音楽の呈示方法に関わらず、2割程度の胎児が音楽に対してより動くことが明らかになった。また、妊婦がストレス軽減につながるような食生活や活動を行っている頻度が高いほど、音楽に対して胎児がより動くという傾向が明らかになった。