著者
山田 隆子 秋元 典子
出版者
日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 = Journal of Japanese Society of Nursing Research (ISSN:02859262)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.25-34, 2012-12

本研究は、アルコール性肝障害入院患者が,断酒を決意し,断酒を継続するプロセスを明らかにし,断酒の決意と断酒の継続を可能にする看護支援について検討することである。入院中のアルコール性肝障害患者6 名を対象とし、半構造化面接を行い、M-GTA の手法で分析した結果、アルコール性肝障害入院患者が断酒を決意し断酒を継続するプロセスは,【アルコールに飲み込まれていった自分を振り返る】ことや,【多量飲酒がもたらす不利益を知る】ことが強い動機づけとなって【断酒し治療を受ける決心をする】を経て断酒し,その断酒の実績から【退院後も継続的な断酒を決意する】ことで、断酒継続の決意をより強めて,入院中の断酒を継続するプロセスであることが明らかになった。看護師は、アルコールに飲み込まれていった自分を患者自身が振り返ること、および、多量飲酒がもたらす不利益を自覚できるように支援する必要であることが示唆された。