著者
山田 直樹 いがり まさし
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.61-70, 2023-04-20 (Released:2023-04-22)
参考文献数
23

新種トウカイスミレViola tokaiensis Sugim. ex N.Yamada & Igari を記載した.本種は本州茨城県以西,四国,九州および韓国済州島に分布するヒメ ミヤマスミレV. boissieuana Makino (= V. sieboldii Maxim. subsp. boissieuana (Makino) F.Maek. & T.Hashim.) と混同され,その東海型として扱われることもあったが,葉が幅広く常に有毛であり,花弁が脈以外も淡紅紫色を帯び,唇弁が他の花弁とほぼ同長で,花柱が単純な円柱形で側面が張り出 さず,萼の付属体が大きくしばしば2 裂する点で明らかに区別できる.生態的にも,ブナ帯の林床に生育して,花は春に葉と同時に展開し,ヒメミヤマスミレと同じ地域に生育する愛知県東部ではトウカイスミレの方が1週間ないし10日ほど遅く開花する.葉の形質や生育環境では広域分布種のミヤマスミレV. selkirkii Pursh ex Goldieに似た点があるが,花弁や花柱の形質ではこれとは明らかに区別され,分布も重ならない.本種は杉本順一 (1962) によって命名され,V. tokaiensis Sugim. の裸名のままいくつかの植物誌や図鑑に掲載されてきたものであるが,今回の記載にあたって新たにタイプを指定した上で,杉本の和名と学名の形容語を生かす形で新種として記載する.

44 0 0 0 OA ノジギク(十面)

出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.8, no.9-10, pp.8_9-10_1176, 1933-04-30 (Released:2023-04-05)
著者
田金秀一郎 丸野勝敏
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.366-368, 2019-12-20 (Released:2022-10-21)

鹿児島県下甑島にてマムシグサとムサシアブミの推定自然雑種個体Arisaema japonicum Blume × A. ringens (Thunb.) Schottが確認されたので,和名をコシキマムシグサ(新称)として報告する.
著者
長田敏行 長谷部光泰 鳥羽太陽 種子田春彦 P. R. Crane
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.91, no.suppl, pp.120-127, 2016-12-23 (Released:2022-10-20)

山梨県身延町上八木沢の雄のオハツキイチョウの一枝にギンナンがなり,そのギンナンから実生が得られた.この木は多くは正常な花粉嚢をつけるが,葉の上に花粉嚢をつけることで,オハツキイチョウとして発見されている.上八木沢のオハツキイチョウで見られた局所的な性転換は,これまで考えられていたより,もっと多く起こっていると思われる.また,現生イチョウの雌雄異株性は,同一植物の別な位置に花粉と胚珠を付ける雌雄同株から進化してきたと思われる.このような雌雄同株から雌雄異株への転換は,性染色体のZW型の分化を伴って起こった可能性があるが,この場合Z 型染色体の方が若干大きくなっている.なお,ZWの組み合わせで雌性を発現し,ZZ の組み合わせで雄性を発現する.イチョウにおいての性転換の分子機構は,未だ分かっていないが,ある種の被子植物においては雌性の発現は特定の転写因子により制御されていることが知られている.その転写因子が,雄性由来のマイクロRNA により負に制御されて雌性を抑制し,雄性の発現をもたらすことが報告されている.同様なシステムがイチョウで起こっているのかどうか,あるいはまったく別の機構であるかどうかは今後の研究に待たねばならないが,雄性特異的マイクロRNA の局所的破壊によりこの雄のオハツキイチョウにおいて胚珠の形成された可能性は検討に値する.
著者
宮澤研人 大村嘉人 山岡裕一
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.154-157, 2020-06-20 (Released:2022-10-22)

生葉上地衣類の一種Aulaxina microphana (Vain.) R. Sant.(ヨウジョウクロフチゴケ属ツブヨウジョウクロフチゴケ,新称)が,西表島で採集されたクロツグ(ヤシ科)の生葉上から確認された.本種は日本新産であり,属としても日本新記録であるため,日本産採集標本に基づく形態情報を報告する.本種の地衣体は薄く(約10 µm),半透明な初生菌糸を伴う.はっきりとした黒色の縁をもつ微小な円形の裸子器(直径0.12–0.28 mm)があり,子器盤は淡黄灰色.子嚢胞子は3つの横断隔壁で仕切られており,隔壁部位にわずかなくびれがあり,大きさは (8.0–)10.6 ± 1.2(–12.5) × (3.0–)3.7 ± 0.6(–5.0) µm.共生藻はトレボクシア様の緑藻.化学成分は薄層クロマトグラフィーでは検出されなかった.非常に微小な地衣類であるために見落とされてきた可能性があり,国内における本種の分布については今後同様な生育環境で詳細な調査を行う必要がある.

3 0 0 0 OA 体系学の立場

著者
山崎敬
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.291-296, 1998-10-20 (Released:2022-10-21)
著者
大村嘉人 文光喜 柏谷博之
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.303-307, 2000-10-20 (Released:2022-10-21)

ウメノキゴケ科サルオガセ属地衣類の Usnea fragilescens (アッケシサルオガセ 新称)が北海道霧多布湿原周辺で発見された. 本種は西ヨーロッパおよび北米から報告されているが, これまで日本からの報告はなかった.本種の特徴は次の通りである. 地衣体は直立半懸垂性, 不同長二叉分岐, 地衣体基部は黒炭色, 分枝の髄層は厚く軸が細いため膨らんだようになる(%C/%M/%A = 5.1/33/23). 枝の幅ほどの円形の粉芽塊を持ち, その表面はやや凹み, 顆粒状の粉芽を生じる.粉芽塊の縁の皮層は反り返らない. 今回採集された全ての標本は, バルバチン酸, 4-O-デメチルバルバチン酸, プロトセトラール酸を主成分として含む.この化学変異株は本種では初めての報告である.