著者
廣澤 愛子
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.217-224, 2011-02-18

本研究では、病的解離から正常解離まで、幅広く「解離」の実態について論じている。病的解離に関する先行研究は多く、それら内外の研究を概観しながら、本研究では特に「解離性同一性障害」に焦点を当て、その状態像や発症要因、治療的スタンスなどを考察した。
著者
戎 利光 田中 麻結 松浦 麻衣 安居 曜平 山田 侑希 宮下 裕文
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.39, pp.31-42, 2014

平成24年度の学校保健統計調査1)によると,裸眼視力1.0未満の児童生徒は年々増加傾向にある。視力 の低ドは日常生活に支障をきたすがそれだけではなく,その度合いが強くなると,将来,緑内障や近視 性網膜症,白内障などの重篤な疾患を続発する危険性が高くなる2)ことから,児童生徒の視力低ドに対す る予防対策が必要である。 ただ,児童生徒の視力への影響因子は広く報告されているにもかかわらず,詳細な調査によって広範 囲に検討された研究は少ない。従って本研究の目的は,視力低下を招く可能性のある屋外活動や姿勢を はじめ,勉強中の目の疲れ,教科書を見る様子,教室の明るさ,勉強時間,スポーツ実施時間,テレビ やゲームに費やす時間などを児童生徒にアンケート調査し,さらには,家族の視力,両親の近視の有無 メガネやコンタクトレンズの使用状況,子どもが勉強やゲームをしている状況,テレビゲームの使用制 限,子どもの習い事,子どもの朝食摂取や睡眠等の生活習慣などを,保護者にもアンケート調査するこ とによって,児童生徒の視力と各種環境因子や遺伝因子との関連を明らかにすることである。 福井県内の小学生726人(小学4,5年生),小学生の保護者722人,中学生795人(中学2,3年生), 中学生の保護者770人の合計3,013人に,巻末の資料1~資料3に記載したアンケート調査を行った。本 研究のアンケート回収率は,児童生徒が95.8%,保護者が98.7%であったが,3,013人の回答の中から,不 完全な回答のデータを除き,小学生695人,その保護者702人,中学生762人,その保護者770人の合計2,929 人のデータを分析した。 本研究より,次のような結果が明らかになった。(1)学校で勉強している時目の疲れをよく感じている 児童生徒は視力が比較的悪く,目の疲れをほとんど感じていない児童生徒は視力が比較的よい,(2)教科 書を見る時目を近づけないように気をつけている児童生徒の多くは,視力が比較的よい,(3)教室の明る さについて丁度よいと感じている生徒の多くは,視力が比較的よい,(4)学校で勉強している時目の疲れ をよく感じる児童生徒の多くは,教科書を見る時いつも目を近づけて見てしまう,(5)学校で勉強してい る時目の疲れをよく感じる児童の多くは,教室が「明るすぎる」,「暗すぎる」と感じている,(6)学校で 勉強している時目の疲れをよく感じる児童の多くは,先生の話を聞く時いつも姿勢が悪くなる,(7)教科 書を見る時目を近づけすぎないように気をつけている児童の多くは,教室の明るさが丁度よいと感じて いる,(8)教科書を見る時目を近づけすぎないように気をつけている児童の多くは,先生の話を聞く時い つも姿勢よく聞いている,(9)普段家の外で遊んだりスポーツをしたりしてよく身体を動かしている児童 の多くは,視力が比較的よい,(10)スポーツ少年団やスポーツクラブに入っている生徒の多くは,視力 が比較的よい,(11)視力の比較的よい母親は児童生徒も視力がよく,視力の比較的よい父親の生徒は視 力がよい。以上の研究結果が,児童生徒の視力低下に対する予防策の一端として活用されることを期待する。
著者
戎 利光 竹内 寛子 中山 環 冨久尾 典子 大久保 花純 横谷 智久 飛田 芳江
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.38, pp.27-33, 2013

近年,食生活の乱れや運動不足,さらには,睡眠不足や夜更かしなどライフスタイル全般にわたって, 不健康な日々を送っている若者が多い。特に大学生は,下宿生活や時間的な縛りが比較的緩くなった日々 の生活により,ライフスタイルの乱れが顕著である。さらに,血管老化度の亢進や肥満などが大きな誘因 の1つである生活習慣病については,その予防に関する大学生の意識は低い。従って本研究の目的は,調 査と実験により,大学生の生活習慣全般を幅広く検討することにより,大学生のライフスタイルと血液循 環動態及び肥痩度との関連を明らかにすることである。 本研究では,大学生162名(男子97名:平均年齢21.2±1.9歳,女子65名:平均年齢20.4±1.2歳)を対 象にライフスタイルに関する調査を行い,さらに,身体組成,血管老化度,血圧,脈拍を測定し,ライフ スタイルと血液循環動態及び肥痩度との関連を明らかにした。本研究におけるデータ分析の結果,(1) 肥 満であると分類された被験者(肥満群)は,隠れ肥満であると分類された被験者(隠れ肥満群)より1週 間当たりの牛乳摂取回数が多い,(2) 肥満群では1週間における朝食摂取日数は血管老化度との間に正の 相関を示す,(3) 肥痩程度が普通であると分類された被験者(標準群)では1週間における朝食摂取日数 は拡張期血圧(DBP)との間に負の相関を示す,(4) 朝食摂取日数と三食摂取日数(共に,1週間におけ る日数)は,標準群,隠れ肥満群,肥満群のいずれもにおいても正の相関を示す,(5) 標準群では,朝食 摂取日数は緑黄色野菜摂取回数や青魚摂取回数(すべて1週間当たり)との間に正の相関を示す,(6) 運 動習慣のない被験者は安静時脈拍数(PR)と体脂肪率(% Fat)が多いことなどが明らかになった。 つまり本研究より,血管老化度は大学生のライフスタイルとそれほど関連性はみられなかったが,肥痩 の程度に関わらず,朝食をしっかり食べている学生は,毎日三食を摂取しているだけでなく,緑黄色野菜 や青魚の摂取などの栄養のバランスを考えた食生活を送っていることや,運動習慣のない学生は% Fatが 多く肥満を誘発する可能性のあることなどが浮き彫りになった。ただ,大学生を個別に観察すると,男性 97人中15人,女性65人中6人は全く朝食を食べておらず,男性97人中12人,女性65人中8人は1週間に1日 しか朝食を食べていないことなどもわかり,学生には男女とも個別に食生活についての健康教育が必要で あることも明らかになった。
著者
大田 貢成 宗倉 啓
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.39, pp.71-75, 2015-02-13

本稿の目的は、リレーの実践を行うための予備的考察として、「スポーツの競争のもつ進歩性と差別性」 という矛盾に焦点を当て、先行教材に学びながら、スポーツを素材から教材へと改変するための視点に ついて検討することであった。その結果、教材づくりでは、勝敗の結果の偶然性だけを手がかりにして 考案しないこと、個々とチームが競争への意欲をかきたてられるような進歩性をいかに保障するかとい う目標を原則にすることなど、12の事項が導き出された。
著者
廣澤 愛子
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.35, pp.217-224, 2010

本研究では、病的解離から正常解離まで、幅広く「解離」の実態について論じている。病的解離に関する先行研究は多く、それら内外の研究を概観しながら、本研究では特に「解離性同一性障害」に焦点を当て、その状態像や発症要因、治療的スタンスなどを考察した。
著者
奥野 信一 畑田 耕佑 石川 和彦
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.39, pp.21-30, 2014

教師が児童/生徒に,電動糸鋸盤による鋸断作業を指導する際の基礎資料を得るため,材料送り速度 を変化させそれに伴う鋸断面の粗さを光学計測器を用いて計測した。また,材料の鋸断面粗さを各番数 の紙やすりと比較する官能検査を実施した。その結果,板材を繊維方向に直角/平行に切断する場合, 送り速度を遅くすることによって,鋸断面粗さが少なくなることが明らかになった。官能検査の結果も, 計測結果と同期することがわかった。
著者
鳩野 憲志朗 鷲田 一夫 奥野 信一
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.129-133, 2014-02-14

技術・家庭科(技術分野)の鍛造学習を可能にするため,本研究グループによる先行研究において簡単な鍛造法と安価な木炭炉を開発した。この2つの新しい技術を利用し,異種金属間の鍛接に関する基礎研究を行った。異種金属間鍛接は一般に大がかりな設備が必要であるが,我々が先に開発した簡便な方法で実験した結果,良好な結果を得た。
著者
政井 英昭 一 慶昭 岩永 英子 MASAI Hideaki ICHI Yoshiaki IWANAGA Eiko
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.163-174, 2009-01-31

ADHD を疑われる知的障害特別支援学校高等部3年生の知的障害児(A)への教育的支援について「くらし」「仕事」「縦割り集団活動」の三つの指導形態において対応した記録をまとめる。A は,感情にまかせて我を通す姿がよく見られたが,「仕事」では自ら希望した「織り物」の活動において自己の課題に取り組み,また,「縦割り集団活動」では好きな木工関係の活動で小中学部の児童生徒に対してリーダーシップを発揮する場面の中で,それぞれ自己調整力の育成を図ってきた。担任とは,「くらし」の時間を中心に活動した。これらの活動の中でA にとっては,何が中心的課題で,周囲はどんな点に配慮して活動を進めてきたか,また,進めるべきだったかなどについて,事実に即してまとめる。また,進路指導主事のアドバイスの下で繰り返し行った現場実習の結果得られた卒業後についても触れる。