著者
佐藤 憲一
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.22, pp.71-83, 2004-03-31

はじめに 1988年、ノースウエスタン大学出版局とニューベリー図書館が共同して、ハーマン・メルヴィル(Herman Melville)の『白鯨』(Moby Dick or the Whale)を出版した。このテクスト(=本文)は、G・トマス・タンセル(G. Thomas Tanselle)とハーシェル・パーカー(Hershel Parker)という2人の書誌学者が ...
著者
ゴーシュ ダスティダー デバシリタ
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.22, pp.171(70)-186(55), 2004-03-31

一 はじめに 安部公房の短編小説「R62号の発明」は一九五三年〈昭和二八年〉に「文学界」に発表された。この時期、二九歳の公房の世界観は戦争体験から時間を経てかなり変わってきており、公房は、後に言及するように、ある左翼系の文学サークルに加入し実験的な作品を書き始めていた。 ...
著者
坂井 竜太郎
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.21, pp.39-54, 2003-03-31

1. 古典的リアリズムの問題性 本論の目的は、近代小説における古典的リアリズムの問題点を指摘し、ジェイムズ・ジョイスのDubliners(以下『市民』)とA Portrait of the Artist as a Young Man(以下『肖像』)において、そうしたリアリズムが、どのように乗り越えられていったかを明らかにすることである。 ...