著者
呉 聖淑
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.23, pp.27(36)-44(19), 2005-03-31

はじめに 本稿は明治四一年三月にエリート青年男女が起こした情死未遂事件、あるいは心中未遂事件として社会に大きな関心と反響を呼び起こした、いわゆる〈煤煙事件〉をさぐる前段階の作業である。 ...
著者
Kim Chae-Su 金 采洙
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.17, pp.17-39, 2000-03

1. 西欧人の宇宙体験と文化意識 去る20世紀は資本主義、社会主義、共産主義といった政治的経済的思想によって支配されていた時代だというならば、これからの21世紀は文化に関する思想にとらわれる時代として診断される。 ...
著者
李 志炯 Lee Jee-Hyung
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.21, pp.176-154(1, 2003-03-31

はじめに 『分配』は、昭和二年八月『中央公論』に発表された島崎藤村の短編小説である。この小説は、藤村の晩年の大作である歴史小説『夜明け前』以前に書かれたものとしては最後の小説である。小説の内容は藤村の実体験を題材としている。 ...
著者
ゴーシュ ダスティダー デバシリタ
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.22, pp.171(70)-186(55), 2004-03-31

一 はじめに 安部公房の短編小説「R62号の発明」は一九五三年〈昭和二八年〉に「文学界」に発表された。この時期、二九歳の公房の世界観は戦争体験から時間を経てかなり変わってきており、公房は、後に言及するように、ある左翼系の文学サークルに加入し実験的な作品を書き始めていた。 ...
著者
金 忠永 Kim Choong Young
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.9, pp.115(46)-146(15), 1992-03-15
著者
金 忠永 Kim Choong-Young
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.19, pp.156-172, 2001-03-31

一、 はじめに 『風姿花伝』は世阿弥の能楽論書の中で前期の代表作であり、その中心課題は舞台上に「花」を咲かせることにある。この『風姿花伝』で説かれている「花」とは、能の魅力、あるいは能役者が観客に与える感動をさし、『風姿花伝』第七の別紙口伝には、 ...
著者
波潟 剛
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.19, pp.36-50, 2001-03-31

はじめに 花田清輝のエッセイ「砂漠について」と安部公房の長編小説「砂の女」とは、彼らの師弟関係を論じる際しばしば取り上げられるテクストである。その徴証となるのは砂漠や砂のイメージに関する共通性である。 ...
著者
斉藤 愛
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.21, pp.9-10, 2003-03-31

阿部先生にはじめてお会いしたのは、博士課程の面接試験会場だった。私は前日のフランス語の出来がとても悪くて、ほとんど落ちているのだからと、まったく気が進まないまま受けた面接だった。面接官の一人が阿部先生だったのだが、鋭い目でいくつかの質問をなさった。 ...
著者
高橋 優佳
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 = Tsukuba Studies in Literature (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.37-52, 2018-03-30

本論文では、J・K・ローリング(1965-)の『ハリー・ポッターシリーズ(1997-2007)の主人公ハリー・ポッターと、小野不由美(1960-)の『十二国記』シリーズ(1991-)の主要人物である泰麒(高里要)について比較しながら共通点と差異を見出していく。ハリーと泰麒には、身体的特徴や背負う宿命に類似点が見受けられるが、現段階で『ハリー・ポッター』シリーズと『十二国記』シリーズの類似性に関して論じている先行研究が非常に少ない。その理由として、2人の主人公の描写に、様々な共通点をも覆すような決定的な差異が存在することが考えられる。本論文における考察は、間作品が影響を受けている、C・S・ルイスの『ナルニア国物語』などの古典作品について、イギリスと日本の作家がそれぞれの地域や文化の中でどのようにして受容し変容させていったか、ということについて考察するための具体例を提供することにもつながるだろう。