著者
笹竹 英穂
出版者
至学館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

女子大生の性犯罪についての防犯意識の阻害要因を解明することを本研究の目的とした。阻害要因として,楽観主義バイアスを取り上げた。楽観主義バイアスは,被害にあう頻度および被害の程度の2つを設定し,それぞれ直説法と間接法で測定した。その結果,特に被害体験がある場合には,楽観主義バイアス(程度)が高いと防犯意識が低いことが明らかとなった。
著者
前野 博 淺間 正通 西岡 久充
出版者
至学館大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

Web上での遠隔的協調学習環境を用いたプレオーガナイズド学習環境開発を行うと共に、対面授業をも組み込んだブレンディッドラーニングを通して、語彙学習における効果を検証した。プレオーガナイズド段階の活動履歴から、事前に適切な動機付けを行うことで活動状況が活発化した点が検証されたので、個々の自律学習が促進される可能性もが示唆された。研究代表者である前野の体調不良によりコア研究に関しては長期中断を強いられはしたが、研究スキーム自体は研究分担者による分担研究によって維持されたので、eラーニングでの進捗率と学習効果の連関性、及び対面補完を援用してのブレンディッドラーニングの効果などを明らかにするに至った。
著者
西沢 富江 春日 規克
出版者
至学館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

筋損傷は一過性除神経を引きこす。運神経終末と筋の再接合期に、筋線維は多重神経支配を受ける。その後、余剰神経が排除されて単一神経支配の状態に戻る。筋損傷から再生過程に起こる余剰神経排除の選択はその後の筋線維タイプの決定を左右するだろう。一方、余剰神経の選択的排除には運動が大きく関与し、筋線維から運動神経終末へ何らかの情報が発信されている可能性が考えられる。筋の情報としてミオシン重鎖mRNAの発現量があげられる。そこで本研究では、一過性除神経期の神経筋接合部形態と運動がミオシン重鎖mRNA発現量に及ぼす影響から仮説を検討した。結果、運動に伴うミオシン重鎖mRNA発現量の増加、筋線維タイプ移行が示された。一過性除神経期の運動は、筋から神経への情報伝達に関与し、余剰神経の排除に影響を及ぼす可能性が示唆された。
著者
斎木 喜美子
出版者
至学館大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本研究の意義は、日本の近・現代児童文学研究においてほとんど注目されてこなかった沖縄の児童文学に着目した点にある。本研究ではまず第一に、沖縄においても大人の文学のみが注目されてきた山之口貘と伊波南哲の児童文学作品を発掘し、書誌事項を明らかにする。第二に文学者の生育史、教育史と当時の教育界の動向とを重ね合わせ、さらに周囲への聞きとりも網羅しながら両者の児童観や作品の持つ歴史的意味を分析・考察することを目指してきた。本年度は研究の総決算として以下の点で研究成果をあげることができた。1. 伊波南哲、山之口貘の児童雑誌の掲載作品について追加調査を行い、新たな資料発掘も含めてリスト化した。2. 伊波南哲、山之口貘の児童雑誌掲載作品を手がかりにしながら作家としての戦前・戦中・戦後の歩みをたどり、郷土を背景にした「子ども観」と「教育観」を明らかにした。3. 研究会にて研究発表を行い、さらに論文を執筆して研究成果を世に問うことができた。4. 児童雑誌掲載作品の調査と合わせて、すでに絶版になっている山之口貘、伊波南哲の著書を古書店等で入手し、資料収集に努めた。今年度が最終年度であったため、山之口貘・伊波南哲の作品主題、子ども観、教育観の差異を比較しつつ、両者に共通の郷土観、沖縄特有の時代的制約についても言及した。とりわけ山之口貘に関しては、これまでまったく知られていなかった作品情報を琉球新報朝刊(2010年10月25日)にて公表したことが成果として特筆できる。