著者
大西 まどか 渡邊 祐理 宮下 佳子 鈴木 理子 小田 浩一
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集 第19回視覚障害リハビリテーション研究発表大会in東海
巻号頁・発行日
pp.35, 2010 (Released:2010-11-01)

目的: 昨今、ロービジョン人口の増加等により、フォントの視認性も様々な観点から研究されている。 しかし、視認性には様々な要因があり、包括的な研究は未だ少ない。 そこで、本研究では既存のフォントを用いた読書評価によって読みやすさの要因を探る。 対象と方法: 刺激はスタイル(オールド・スタンダード・モダン・UD)、セリフ(明朝・ゴシック)、ウエイト(細・中・太)の三要因を持つ、22 種類のフォントを用いた(UD明朝体のウエイトは中のみ)。 読みやすさの指標には読書視力(RA)、臨界文字サイズ(CPS)、最大読書速度(MRS)を使用した。 被験者にフォントの種類別に読書視力評価の手法で刺激を呈示し、誤読数と読み速度を記録した。 被験者は視覚正常で、日本語を母語とする学生6名。 結果と考察: RAにおいてスタイル、セリフ、ウエイトを要因とした3要因分散分析を行った結果、すべての要因の主効果がみられた (F(3,109)=5.41 p<0.05,F(1,109)=4.50 p<0.05,F(2,109)=25.02 p<0.01)。 また交互作用はセリフとウエイト間のみであった(F(2,109)=3.61 , p<0.05)。 スタイルとウエイトについてTukeyのHSDによる多重比較を行った結果、スタイルはUD=オールド=>モダン>スタ ンダードだった。 一文字当りの字面は大きい順にUD>モダン>スタンダード>オールドとなる。 字面の一番小さかったオールドがスタンダードよりも良く、またUDとオールドの値には有意な差がなかったので、字 面の大きさが読みやすさに直結しているとは言い難い。 また、ウエイトについてもTukeyのHSDによる多重比較を行ったところ、太>中>細となり、ウエイトが太くなるにつれて視認性が向上するという先行研究に沿った結果となった。 なお、CPS, MRSについて3つの要因の効果は見られなかった。
著者
山中 今日子 小田 浩一
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集 第18回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.37, 2009 (Released:2009-11-06)

【目的】主観的な視認性評価が文字の画数の多少とウェイト(線の太さ)から受ける影響は呈示文字サイズによってどのように変化するか、質問紙を用いて調査した。 【方法】刺激は良く使われる漢字の画数分布に合わせてサンプルした1画~20画の90字(加藤・横澤)を画数で4グループに分け、各グループから4文字ずつランダムに抽出した。モリサワ新丸ゴシックのウェイトL,R,M,B,Uを用い、普通紙に2400dpiのレーザープリンタを用い文字サイズは35,22,14,9,6pointでランダム順に印刷した。調査対象者は大学生6名で、見やすい・どちらとも言えない・見にくいの3段階評価を行った。 【結果・考察】評価得点に対する画数,ウェイト,文字サイズを要因とした三元配置の分散分析では三要因の主効果及び全ての組み合わせにおける交互作用が有意であった。(画数:F(3, 15)=87.76, p=.00、ウェイト:F(1.52, 7.58)=50.69, p=.00、文字サイズ:F(1.27, 6.34)=6.45, p<.05、画数×ウェイト:F(2.32, 11.60)=56.75, p=.00、画数×文字サイズ:F(3.47,17.34)=28.51,p=.00、ウェイト×文字サイズ:F(1.72,8.62)=6.48, p<.05、画数×ウェイト×文字サイズ:F(3.92, 19.59)=5.64, p<.01) 文字の複雑さによって読みやすいと感じるウェイトの値は異なると言える。また、この画数とウェイトが主観的視認性にもたらす効果は文字の大きさによって変化し、読み素材として身近な文字サイズでは日常的に見慣れているフォントに近いLやRを画数に関係なく好むことが示唆された。またこのサイズを下回ると、ウェイトが太く画数の多い文字の視認性が急激に低下し、逆にこのサイズを極端に上回るとLよりもR,Mを好む傾向が伺えた。