著者
鈴木 理子 白頭 宏美 杉原 由美
出版者
日本教師学学会
雑誌
教師学研究 (ISSN:13497391)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-20, 2020 (Released:2020-09-24)
参考文献数
18

大学で行われている自律型日本語学習クラスを初めて担当した教師Aにインタビュー調査を行い,教師にどのような気づきがあったのか,その気づきはどのようなことを契機にして起こったのかについて分析した。自律型クラスでは,学生が自身の日本語の強み,弱みを認識した上で,将来のことも考え,自分にとって必要な日本語学習を主体的に計画,実行し,評価する。教師は,これらの過程に関わりながら学生を支援する立場にあり,教える項目が決まっている授業とは,教師がすべきことが大きく異なる。分析の結果,教師Aの気づきには,「学生に対する認識」「自律型クラスに対する認識」「学生にとっての自律型クラスの意義」「自律型クラス内で教師が学生に対してすべきこと」「教師に必要な知識」「同僚とのやりとりの重要性」の6つがあった。また,これらの気づきの契機は「学生との相互作用」「同僚とのやりとり」であった。
著者
大西 まどか 渡邊 祐理 宮下 佳子 鈴木 理子 小田 浩一
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集 第19回視覚障害リハビリテーション研究発表大会in東海
巻号頁・発行日
pp.35, 2010 (Released:2010-11-01)

目的: 昨今、ロービジョン人口の増加等により、フォントの視認性も様々な観点から研究されている。 しかし、視認性には様々な要因があり、包括的な研究は未だ少ない。 そこで、本研究では既存のフォントを用いた読書評価によって読みやすさの要因を探る。 対象と方法: 刺激はスタイル(オールド・スタンダード・モダン・UD)、セリフ(明朝・ゴシック)、ウエイト(細・中・太)の三要因を持つ、22 種類のフォントを用いた(UD明朝体のウエイトは中のみ)。 読みやすさの指標には読書視力(RA)、臨界文字サイズ(CPS)、最大読書速度(MRS)を使用した。 被験者にフォントの種類別に読書視力評価の手法で刺激を呈示し、誤読数と読み速度を記録した。 被験者は視覚正常で、日本語を母語とする学生6名。 結果と考察: RAにおいてスタイル、セリフ、ウエイトを要因とした3要因分散分析を行った結果、すべての要因の主効果がみられた (F(3,109)=5.41 p<0.05,F(1,109)=4.50 p<0.05,F(2,109)=25.02 p<0.01)。 また交互作用はセリフとウエイト間のみであった(F(2,109)=3.61 , p<0.05)。 スタイルとウエイトについてTukeyのHSDによる多重比較を行った結果、スタイルはUD=オールド=>モダン>スタ ンダードだった。 一文字当りの字面は大きい順にUD>モダン>スタンダード>オールドとなる。 字面の一番小さかったオールドがスタンダードよりも良く、またUDとオールドの値には有意な差がなかったので、字 面の大きさが読みやすさに直結しているとは言い難い。 また、ウエイトについてもTukeyのHSDによる多重比較を行ったところ、太>中>細となり、ウエイトが太くなるにつれて視認性が向上するという先行研究に沿った結果となった。 なお、CPS, MRSについて3つの要因の効果は見られなかった。