著者
近藤 康人 池上 和男 井関 正博
出版者
防菌防黴研究会
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-4, 2004 (Released:2011-03-05)

5分間の電解により次亜塩素酸を生成した電解水と次亜塩素酸ナトリウム溶液を希釈した溶液で酵母の殺菌効果の比較を行った。電解水は生成直後から3分以内で高い殺菌効果が認められた。一方、次亜塩素酸ナトリウム希釈溶液ではほとんど殺菌効果は認められなかった。さらに、電解を30分以上行った溶液では次亜塩素酸に対して耐性のある枯草菌芽胞にも殺菌効果が認められた。また、電解水も6分間放置した場合には、殺菌効果は次亜塩素酸ナトリウム希釈溶液と同様になった。このことから電解水では生成直後にはオゾンなどの活性物質が存在し高い殺菌効果を示すと考える。
著者
勝股 理恵 二木 美保 北澤 みどり 高橋 沙織 吉田 育恵 蜷川 紀子 枳穀 豊 木内 幹
出版者
防菌防黴研究会
雑誌
防菌防黴 = Journal of antibacterial and antifungal agents (ISSN:03855201)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.349-356, 2004-07-10
参考文献数
14

ジャムの加工工程中に生成するフルフラールによるAspergillus flavus IAM2872に対する生育阻止効果について調べた。1.糖濃度約50%の13種類のジャムを試作して性状を検討した結果、pHは3.05-3.50で平均3.26、糖濃度は48.4-51.6%で平均50.4%、水分活性は0.949-0.963で平均0.954であった。ジャムの間に大きな差は見られなかった。2.試作したジャムのフルフラール含量は、0.05μl/g(リンゴジャム)-9.3μl/g(レモンマーマレード)であった。3.ジャム平板においてIAM2872の生育が良かったのは、チェリージャム、カシス、イチゴ、オレンジマーマレード、ラズベリー、ブルーベリー、ミックスジャムであった。生育が悪かったのは、アンズジャムで30日間まったく生育しなかった。コロニーの中心部は多くの場合青緑色をしているが、白桃、リンゴジャム、レモンマーマレードでは菌糸が透明でジャムの色と見分けるのは可能だが困難であった。また、クランベリージャムではそれを見分けるのも困難であり、いずれも鮮明に見るのがむずかしかった。4.フルフラール添加時におけるIAM2872の生育は、クランベリージャムではフルフラール0.10μl/g添加で、チェリー、ラズベリージャムでは0.20μl/gで、リンゴジャムでは0.25μl/gで、30日間完全に阻止された。以上の結果、フルフラールは低濃度で、ジャムの腐敗の原因となるIAM2872の生育を抑えることができ、ジャムの日持ち向上剤として利用できるものであることが明らかとなった。
著者
白井 昭博 佐久間 貴子 青木 美保
出版者
防菌防黴研究会
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.173-181, 2003 (Released:2011-03-05)

銀担持アクリル繊維とポリエステル繊維の混抄紙(iZi)の抗菌特性とその殺菌機構を明らかにした。iZiは、Legionella pneumophilaを含む細菌に対して強い殺菌力を有していた。iZiの殺菌力は、食塩、ペプトン共存下で低下することを認めた。iZiの殺菌化学種は・OHであることを証明し、さらに菌体内でリビングラジカルとして継続的な殺菌効果を示すと考えられた。また、iZiから菌体へ銀が移行することを示した。iZiの殺菌力は、銀含量に強く依存した。