著者
枳穀 豊 福原 公昭 斉藤 勲 太田 英明
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.118-123, 1995-02-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
10
被引用文献数
3 6

ジャム用の加工原料として利用されている6種類のイチゴ果実(Fragaria×ananassa Duch.)すなわち'アメリカ''千代田''宝交早生''とよのか''タイオーガ''チャンドラー'種のアントシアニン色素を薄層クロマトグラフィで分離し,Rf値および分光学的特性を比較することで同定するとともに,逆相カラム(C-18)を用いる高速液体クロマトグラフィーによって各アントシアニン色素含量を定量した.(1) イチゴに含量されるアントシアニン色素の種類はイチゴ品種により差は認められず,シアニジン-3-モノグルコシド(Cy-3G),ペラルゴニジン-3-モノガラクトシド(Pl-3Ga),ペラルゴニジン-3-モノグルコシド(Pl-3G),シアニジン,ペラルゴニジンの5種類であった.(2) アントシアニン含有量については,調査した6品種の中で'チャンドラー'種が最も多く,これに対して,'アメリカ'種で最も少なかった.(3) 構成アントシアニンの比率は,供試品種でPl-3Gaが最も多く86%以上を占めていた.'アメリカ'種ではCy-3Gが12%と高く,'チャンドラー'種ではPl-3Gが9%を占めた.また,'千代田''宝交早生''とよのか'の各品種はアントシアニン含量および組成が比較的類似していた.
著者
勝股 理恵 二木 美保 北澤 みどり 高橋 沙織 吉田 育恵 蜷川 紀子 枳穀 豊 木内 幹
出版者
防菌防黴研究会
雑誌
防菌防黴 = Journal of antibacterial and antifungal agents (ISSN:03855201)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.349-356, 2004-07-10
参考文献数
14

ジャムの加工工程中に生成するフルフラールによるAspergillus flavus IAM2872に対する生育阻止効果について調べた。1.糖濃度約50%の13種類のジャムを試作して性状を検討した結果、pHは3.05-3.50で平均3.26、糖濃度は48.4-51.6%で平均50.4%、水分活性は0.949-0.963で平均0.954であった。ジャムの間に大きな差は見られなかった。2.試作したジャムのフルフラール含量は、0.05μl/g(リンゴジャム)-9.3μl/g(レモンマーマレード)であった。3.ジャム平板においてIAM2872の生育が良かったのは、チェリージャム、カシス、イチゴ、オレンジマーマレード、ラズベリー、ブルーベリー、ミックスジャムであった。生育が悪かったのは、アンズジャムで30日間まったく生育しなかった。コロニーの中心部は多くの場合青緑色をしているが、白桃、リンゴジャム、レモンマーマレードでは菌糸が透明でジャムの色と見分けるのは可能だが困難であった。また、クランベリージャムではそれを見分けるのも困難であり、いずれも鮮明に見るのがむずかしかった。4.フルフラール添加時におけるIAM2872の生育は、クランベリージャムではフルフラール0.10μl/g添加で、チェリー、ラズベリージャムでは0.20μl/gで、リンゴジャムでは0.25μl/gで、30日間完全に阻止された。以上の結果、フルフラールは低濃度で、ジャムの腐敗の原因となるIAM2872の生育を抑えることができ、ジャムの日持ち向上剤として利用できるものであることが明らかとなった。