著者
森 未知 星野 咲希
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.134-139, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

国立女性教育会館の専門図書館「女性教育情報センター」では,四半期毎に図書のテーマ展示を行っている。今までに「女性のしごと:広がるフィールド~理系,土木,建築,農業,物流~」「ロールモデルを見つける!理系女性の伝記」といった,理系女性に関する展示を行った。女性アーカイブセンターでは企画展示を「チャレンジした女性たちからチャレンジする女性たちへ」というシリーズで行っており,化学,建築,宇宙,医学等に関わる女性たちを取り上げた。本稿では,それらを踏まえて「女性研究者を支援する」というテーマで図書の誌面展示を行うとともに,読者自身も情報を探し,展示を行うために使える国立女性教育会館のサービスを紹介する。
著者
左右内 敏浩 法宗 布美子 都築 泉 大森 照夫
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.149-153, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

新規開発テーマを提案する手法の一つとして「α発想法」がある。「α発想法」は,①個々人が自由発想を行う「個人ワーク」,②個人ワークで得られた発想をグループ化,階層構造化して機能ツリーマップを作成する「集団ワーク」,③機能ツリーマップの分類に既存特許を当てはめて,発想と公知技術との対応を表す機能鳥瞰マップを作成する「鳥瞰ワーク」,④機能鳥瞰マップに自社の強みや市場環境を加味して攻め所を特定する「提案ワーク」の4段階で構成されており,徹底的に発想を展開した後に公知技術と対比し,最終的に自社の強みや環境要素を加味して提案する手法である。「既存特許の分析」を起点とする一般的な手法とは異なり,既存の枠に捉われない「発想」を起点とする点が,「α発想法」の特徴といえる。本研究では,「生分解性プラスチック」を題材に,「新規開発テーマの提案」を目的として「α発想法」を実践し,「徐放性シロアリ駆除剤」を提案するまでの,各段階における留意点等について報告する。
著者
蓑田 裕美
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.122-126, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

資生堂は科学技術領域の社会貢献活動として,研究助成「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」を主宰し,大学や研究機関に勤める女性科学者を毎年10名ずつ支援している。歴代受賞者109名の40%以上が,受賞後に昇進・昇格した。本グラントの特長とその背後にある課題を紹介する。また,資生堂の社内では社員の男女共同参画を下支えする多くの制度があり,国内資生堂グループの女性管理職比率は32.3%に達した。2019年からは企業の女性役員比率30%を目指す非営利キャンペーン「30% Club Japan」にも参画し,社会の女性活躍のために取り組み始めた。
著者
窪川 かおる
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.116-121, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

「海は男の世界」と言われたのは今や昔であり,海にかかわる職場に女性が進出している。女性活躍推進法が2015年に施行され,現在,改訂によりその実効性が強まり,海洋分野における男女共同参画も加速されている。しかし,大学進学での理学・工学分野の女子学生比率は低く,海洋関連分野への女性進出を促す方策は簡単ではない。本稿では,海で働く女性を取り巻く環境がどのように変化し,現状はどうなのかについて,女性比率を参照しながら紹介する。まず大学生と大学教員,次に海洋研究者や港湾・造船・水産の現場,最後に海洋分野での女性活躍のネットワークの重要性について考える。
著者
宮浦 千里
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.112-115, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

わが国における女性研究者比率は欧米諸国と比べて低く,女性研究者が能力を最大限に発揮できるよう,研究と出産・育児等の両立に配慮した措置を拡充する取組みが行われてきた。これら様々な取組の結果,女性研究者の割合は近年上昇傾向にあるものの諸外国と比べると未だに低い。大学や研究機関において,多くの技術者や研究者が活躍しているが,若手研究者および研究支援人材の育成は取組むべき最も重要な施策の一つである。大学運営費交付金の削減や競争的研究資金の拡充により,非正規の特任教員,任期付きの博士研究員等が増加し,これら状況は科学技術の国際競争においてわが国の立場を大きく左右すると考えられる。
著者
野村 紀匡
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.111, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

今月号の特集は,「科学のなかの女性たち」と題してお届けします。1975年,国連は毎年3月8日を国際女性デー(International Women’s Day)と定め,様々な分野におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントを促進する日と位置づけました。今年も世界各国で,国際女性デーを記念する様々なイベントが開催されます。ここで日本の女性研究者が置かれている現状を統計から見てみましょう。2019年科学技術研究調査結果によれば,日本における女性研究者数は15万5000人で過去最多,研究者全体に占める割合も16.6%と過去最高を示しました1)。一方,OECDの集計によれば,女性研究者率が46.4%に達するアイスランドや,43.7%のポルトガルのような国々,さらにドイツ(27.9%)や韓国(20.1%)と比べても日本の女性研究者率は低い水準に留まっています2)。本特集は,このような状況にある日本の女性研究者を支援する施策や活動について紹介しつつ,今後の活躍を応援することを企図しています。はじめに宮浦千里氏(東京農工大学)に,主に自然科学分野における女性研究者支援施策についてご説明いただきました。窪川かおる氏(帝京大学)には,海洋分野で活躍する女性とそのネットワークについてご紹介いただきました。蓑田裕美氏(株式会社資生堂)には「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」についてご詳説いただき,また同社における男女共同参画を支える取り組みについてご共有いただきました。北村紗衣氏(武蔵大学)にはWikipediaにおけるジェンダー平等について,課題も含めてご解説いただきました。森未知氏・星野咲希氏(国立女性教育会館)には,女性研究者支援をテーマに据えた「図書紙面展示」を企画いただきました。本特集が,女性研究者の置かれる状況やこれからの女性研究者支援について,さらには女性活躍・登用促進について考える契機となれば幸いです。(会誌編集担当委員:野村紀匡(主査),寺島久美子,當舎夕希子,光森奈美子)参考文献1)“図2-2 女性研究者数(実数)及び女性の割合の推移”.2019年科学技術研究調査(要約).総務省統計局,2019,p.4.https://www.stat.go.jp/data/kagaku/kekka/youyaku/pdf/2019youyak.pdf, (参照2020-01-27).2)“Women researchers as a percentage of total researchers (headcount)”. Main Science and Technology Indicators (Dataset), OECD.Stat. https://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=MSTI_PUB#, (accessed 2020-01-27).