著者
藤田 節子 平田 泰子 戸塚 隆哉 井上 孝 山﨑 久道
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.108-114, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)

書籍の巻末索引は,重要であるにもかかわらず,「本の飾り」くらいにしか思われていない傾向がある。INFOSTA分類/シソーラス/Indexing部会では,この巻末索引についての研究の一環として,一般向け書籍3冊を選び,メンバーで分担して索引作業を実施し,その結果を共有して議論した。2冊については,語による索引を付与し,1冊については,段落ごとにUDC(国際十進分類法)の分類番号を振ることにした。その結果,索引における索引語の選択基準や索引語と本文中の語との関係などの多岐にわたる問題について,検討することとなり,一定の知見が得られた。この知見は,書籍の索引を作成する場合はもとより,論文などの索引付けや文献データベースの索引部分の設計にあたっても,参考にできる。
著者
山﨑 久道 小川 千代子 飯尾 淳 李 東真
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 = Records management : journal of the Records Management Society of Japan (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.70, pp.57-74, 2016-03

わが国の研究開発においては、STAP問題に見られるように、研究倫理のあり方と研究におけるデータや記録の適正な管理、利用が大きな問題になっている。これまで、研究ノートの「不備」や「正しい書き方」などを指摘する文献は数多くあるものの、研究における記録管理のあり方やプロセスを示し考察した文献は少ない。今回は、最新の情報技術の動向もにらみ、実際に研究を進める研究機関の立場からもこの問題をとらえ、記録管理についての知見がこの問題にどのように貢献できるのかを検討した。その結果として、以下の諸点を提言した。(1)科学の手法の変遷や研究分野の特徴に見合った情報の管理の必要性を追究する。(2)情報通信技術の進化を見据えて、データ取扱いの技術的側面と倫理的側面の検討と研究における情報取扱いのガイドラインの作成を行う。(3)研究現場での「アーカイブ」概念の意義と必要性を啓蒙する。(4)実務面での実験ノート作成・管理などの実践的手法の提唱と普及に着手する。(5)研究開発を効果的に支援できる「理系分野に強い」データ管理、記録管理の専門家の育成を目指す。(6)記録管理を実行することが研究の不正防止のみならず、効率や品質の向上に資することを証明して、そのことを社会に広く周知する。
著者
山﨑 久道
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.290-296, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)

インフォプロや図書館員の役割は,情報とそれを求める人を適切に結びつける「情報の仲介者」ということである。文献の整理技術や情報管理,インデクシング(索引作業)は,そのための必須の技法と位置付けられる。情報の組織化,メタデータ作成などと,表現されることもある。これは,自然語による,時空を超えたコミュニケーションの不安定性を克服する手段である。インフォプロが自らの仕事を効果的,効率的に遂行するには,こうしたスキルと理論の習得が必要である。こうした点で共通点を持つINFOSTAとTP&Dフォーラムが,コラボレーションすることは,のぞましいことである。