著者
Andrew J. Crossthwaite Aurelien Bigot Philippe Camblin Jim Goodchild Robert J. Lind Russell Slater Peter Maienfisch
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.67-83, 2017-08-20 (Released:2017-08-20)
参考文献数
158
被引用文献数
53

ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は,カチオン選択性細孔の周囲に配置された5つのタンパク質サブユニットからなるリガンド作動性イオンチャネルである.いくつかの天然および合成殺虫剤は,nAChRと相互作用することによってその効果を表す.ここでは,ネオニコチノイドとその関連化合物の標的害虫に対する薬理作用についてまとめた.無脊椎動物に内在するnAChRを構成するサブユニットの量比は不明であるが,昆虫の受容体調製物において,ネオニコチノイド結合部位の存在が明らかにされ,これら殺虫剤は広範囲のnAChRに対して異なる薬理作用を表すことが示された.スピノシンは,主に鱗翅目のような咀嚼害虫を防除するために使用されるに対して,ネライストキシン類縁体は接触および浸透作用を介してイネおよび蔬菜害虫に使用されるが,これら殺虫剤の薬理作用は特有で,ネオニコチノイドの薬理作用とは異なる.
著者
Yoshiaki Nakagawa Hisashi Miyagawa
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.177-178, 2017-11-20 (Released:2017-11-24)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
遠藤 正造 鶴町 昌市
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.82-86, 2001
被引用文献数
49

1989~1992年に東南アジアと日本で採集したトビイロウンカとセジロウンカの感受性を比較した. トビイロウンカ: 1989, 1990年に採集したマレーシア個体群のマラソン感受性は日本のそれの約1/7と低く, ダイアジノン, カルボスルファン感受性も若干低い傾向が認められた. また1992年の検定結果では, ベトナム南部及びタイ個体群のマラソン感受性は, 日本及びベトナム北部のそれより若干低かった. しかし, 他の薬剤に対する感受性はこれらの個体群間で大きな差はなかった. セジロウンカ: 1989~1990年個体群の薬剤感受性を比較した結果, マレーシア個体群のマラソン感受性は日本のそれの約1/6と低かった. しかし, 他の薬剤に対する感受性はこれらの個体群間でほとんど差はなかった. また, 熱帯地域においてもこれら2種のウンカは1977~1992年の間に各種薬剤に抵抗性が発達したことが確認された.
著者
日本農薬株式会社登録薬事部
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.S261-S267, 1992
被引用文献数
1

フェンピロキシメート原体および5%フロアブル製剤の安全性評価を行なうために各種毒性試験を実施した.<br>その結果, 原体の急性経口毒性は劇物相当であるが, 製剤の毒性は弱く, 普通物に相当する. 原体および製剤の急性吸入毒性は相対的に強く, 製造時等での取扱いに十分に注意する必要がある. 原体および製剤の急性経皮毒性は弱い. 原体は眼に対して軽度の刺激性を示すが, その後回復がみられている. 皮膚刺激性は認められない. 製剤では, 防除場面で使用する1000倍希釈液での刺激性は認められていないものの, 原液では眼および皮膚のいずれにも軽度の刺激性を示す. 原体はモルモットでの Maximization 法で皮膚感作性を示したが, より実際的な評価法と考えられる Buehler 法では皮膚感作性は認められず, 製剤においては Maximization 法でも認められなかった. マウス, ラットおよびビーグル犬での亜急性毒性, 慢性毒性および発癌性試験において飼料摂取量の減少に伴う体重増加抑制, タンパクおよびグルコース濃度の低下および尿素濃度の上昇が認められた. ビーグル犬ではさらに下痢や嘔吐に加えて, 心拍数の減少がみられた. しかし, いずれの試験においてもフェンピロキシメート投与に起因する病理組織学的変化や腫瘍性病変の発現は認められず, 変異原性も陰性であった. 繁殖や次世代に対する悪影響および催奇形性は認められなかった.<br>フェンピロキシメートの鳥類に対する毒性は弱いが, 原体のコイおよびニジマスでの48時間TLm値がそれぞれ0.0061および0.00057ppm, ミジンコでの3時間TLm値が0.085ppmと, 魚類およびミジンコに対するフェンピロキシメートの毒性は強いため, 池や河川等の水系への流入には十分に注意する必要がある.<br>本剤は, 1991年にリンゴ, 柑橘, ブドウ, ナシ, モモ, オウトウ, チャ, スイカ, メロン, イチゴ, カーネーションおよびキクのハダニ類に対して登録を取得し, 1992年にはハダニ類以外のチャのチャノミドリヒメヨコバイに対しても登録を取得した. 登録保留基準値は, 果実 (ナツミカンの外果皮およびブドウを除く) 0.5ppm, ナツミカンの外果皮5ppm, ブドウ2ppm, チャ0.5ppmである.<br>フェンピロキシメートは定められた使用基準を遵守すれば農業資材の一つとして有用であると考える.
著者
Amrith S. Gunasekara Tresca Truong Kean S. Goh Frank Spurlock Ronald S. Tjeerdema
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.189-199, 2007 (Released:2007-08-27)
参考文献数
47
被引用文献数
184 268

Fipronil is a relatively new insecticide that controls a broad spectrum of insects at low field application rates. It is a “new generation” insecticide because its mode of action, interference with the normal function of γ-aminobutyric acid (GABA)-gated channels, differs from the classical insecticides, such as organophosphates and carbamates, to which some insects have developed resistance. Fipronil is extensively used throughout the world and numerous studies have evaluated its toxicity and environmental fate. However, a concise review summarizing and combining the recent scientific findings available in the scientific literature is lacking even though the pesticide has been found to be highly toxic to some aquatic organisms. Thus, this document evaluates, summarizes, and combines important toxicological and environmental fate information from recent scientific articles and other literature to produce a detailed review of fipronil.