著者
若林 宗平 ジャベル ニザル 野口 伸
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.268-275, 2010-05-01

トラクタ機関として二燃料機関を用いる場合,軽油消費量を削減しつつ燃焼効率を向上させるには,バイオガスの供給を機関負荷に応じて制御する必要がある。本研究では,二燃料機関へのバイオガス供給の最適化を行い,目的関数に応じたバイオガスの供給マップを作成した。自作した電子制御ユニット(Electric Control Unit ; ECU)を用いてバイオガス供給の制御を行い,最適化したトラクタ用ディーゼル機関の出力性能,排気性能の評価を行った。<BR>出力性能試験の結果,機関の最大出力,最大トルクに変化は見られず,軽油単味運転時と同程度であった。ISO計測基準8178-4に基づいて負荷条件を平均化した排出ガス特性を検討した結果,最適化後の二燃料機関の排気性能は所期の目的関数に見合った結果となり,CO排出量の改善がみられた。また,軽油の消費減少量,正味熱消費率についてもバイオガス最適化の効果が認められ,低負荷時の燃焼効率は改善された。最適化した機関を用いてほ場作業のシミュレーションを行った結果,バイオガス供給マップにより想定される機関性能が得られた。
著者
ジャベル ニザル 野口 伸
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.89-98, 2007-01-01
被引用文献数
4

農産物残渣物から得られるバイオガスを, 脱硫・高濃度化し農用車両の燃料へ適用することは, これまでの電気熱源利用同様, 有益な技術である。<br>適用に当たって, 農用車両に用いられるディーゼル機関の点火機構は, 排ガス性能へ直接影響することから, 十分に文献調査した。天然ガスやバイオガスなどのメタンを軽油とともにディーゼル機関の燃料とする二燃料運転では, NO<sub>x</sub>と黒煙を減少させるが, 高負荷ノックを起こし, 低負荷では失火を起こすことが明らかにされている。これら問題の解決方法は世界中で研究されており, 一部実用化に至っているものもあるが, 未だ様々な試みが行われている。
著者
武長 孝 橋本 政雄 津賀 幸之介 梶山 道雄 橋本 佳文
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.169-177, 1978

この研究は諸外国でも開発が進められている農薬の微量, 少量散布機について, 昭和41年から始まり昭和52年の乗用トラクタマウント少量散布機の実用化, および低毒性の少量散布用農薬の登録受付けに至る間の基礎および開発研究を記述したものである。研究の内容は放射化分析を利用した農薬付着と漂流飛散の追跡, 有気噴頭の性能研究, 粒径の表現方法, 少量散布用落下調査指標の設定, 並びに8機種の微量, 少量散布機の開発研究からなっている。
著者
呂 慶云 李 再貴 三上 隆司 河野 元信
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.84-88, 2006-09-01

中国産インディカ米試料90点を, 日本で広く用いられている四点試験法による官能検査で評価し, この評価法がインディカ米の食味評価法として適するかどうかを検討した。その結果, 四点試験法による官能検査は中国産インディカ米米飯の食味評価に利用できることが明らかになった。<br>先ず, 60点の米飯試料を対象に外観, 香り, 味, 粘りによって食味の総合評価の官能予測値を回帰計算し, 相関係数R=0.98の高い値を得た。次いで, 残りの30点の米飯試料により回帰式の予測値と官能検査の総合評価値との相関を検証し, これについてもR=0.98の高い相関を得た。しかし, 光沢と硬さについては, 食味総合評価値と明確な相関が得られなかった。