著者
長広 仁藏 岩本 順二郎 樋口 健
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.75-83, 1989 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8

第1報に引き続き, 試作したエゼクタ式ガスノズルの発泡性能に及ぼす諸因子の影響を究明するための実験を行った。その結果, (1) エゼクタ式ガスノズルの開発に必要な最適設計標準値を決定した。また, (2) 液体ノズルから噴出する液体噴流のウエーバ数予Weとガスノズル内に吸引される空気流のレイノズル数Reの関係は, 両対数グラフ上でWe=bRemの方程式にしたがって直線的に変化することがわかった。そこで, (3) このWe~Reの関係から, 吸引ガス流量Qgと液体噴流の流量QLとの比で表される流量比ζの予測計算式を導出した。
著者
長廣 仁藏 岩本 順二郎 樋口 健
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.81-87, 1989 (Released:2010-04-30)
参考文献数
2

エゼクタ式ガスノズルによる極微細気泡の発生は, ガスノズル平行部内の非常に限られた狭い領域で行われる。そこで, ガスノズル平行部内の液体噴流と吸引ガス流などの流れの状況を可視化して, 極微細気泡発生のメカニズムを解明するための実験を行った。その結果, 極微細気泡は, 液体ノズルからガスノズル平行部内に噴出した液体噴流と, ガスノズル平行部内壁面に付着残留した液体層との間に挾まって, 液体噴流表面と空気との間に働く粘性力の作用で引きずり込まれた三角管形状の吸引空気流が, その先端部すなわち液体噴流と付着液体層の接触部で, 液体噴流と空気流の相対運動により剪断されることによって発生することが判明した。
著者
平田 晃
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.22-26, 2003-11-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
秋永 孝義 岡留 博司 國府田 佳弘
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.51-56, 1994 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12

沖縄県産の黒糖は粘度, 硬度, 色, 水分などの物性が産地によって異なり品質が安定せず, 主な需要先である加工業者からは安定した品質の製品が望まれている。品質の向上や製造技術を改善するためには黒糖の各種の特性を調査する必要がある。そこで, 沖縄県内全工場の黒糖の物理的特性を調査した。その結果, 黒糖の物性が産地によって大きく異なり, その原因が製造工程, 特に最終濃縮工程にあることを示唆した。
著者
孫 明 高橋 照夫 戸次 英二
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.53-60, 1997-07-01
参考文献数
16
被引用文献数
3

本研究は, リンゴ収穫のロボット化を実現するために必要な果実検出の視覚システムを開発しようとするものである。本報では, 2値画像で果実の描画率が80%以上得られることを目標に, 色信号を用いた画像処理法を検討した。果実, 葉, 枝等の色信号濃度ヒストグラムの解析から求めたしきい値で, 収穫時のカラーTV画像に2値化処理を施した。その結果, 赤色系果実に対して色差信号G-Yのしきい値-5を用いると, 順光状態では目標の描画率80%を得られたが, 逆光状態では果実の輝度が低下して目標に達しなかった。黄緑色系果実に対しては, 2原色の差信号R-Bでしきい値30を用いると, 果実の輝度が110以上において描画率80%以上を得られた。ただし, 逆光では目標に達せず, また太陽光の葉面反射で果実と葉との識別を誤ることがあった。
著者
目崎 孝昌 佐竹 利子 福森 武 池田 善郎
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.61-71, 2005-09-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12

米粒における短時間の水の移動に関する研究は, 洗い仕上げ無洗米のような精米後の処理技術を開発するために重要である。米粒内への吸水速度は, 乾燥や精米後の表面処理状態によって大きく影響を受けることが予測される。しかしながら, 微視的な穀粒構造の中で水移動を観察することは困難であった。本研究では, 液体窒素による急速冷却効果を利用して, 浸透水の氷結晶化による微細構造の変化をとらえ, 精白米中の吸水現象を可視化することを試みた。その結果, 精白米のデンプン胚乳 (デンプン貯蔵組織) では, まず水は複粒デンプンを通過し, 二次的に単粒デンプンを通って浸透した。さらに, 白米表面に糊粉層を残すと穀粒への吸水が妨害されることが確認され, アリューロン層を残すことは水浸入の防止策となるものと考えられる。
著者
尾畑 納子 桑原 宣彰 岡本 嗣男
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.157-164, 1999-01-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14

農薬散布作業時に着用する農作業服の効果的な洗浄方法を確立するため, 各種洗浄条件のもとで, 綿, ナイロン, ポリエステル素材について, それらの除去性を中心に検討した。結果は以下の通りである。1) 繊維に付着する農薬量は, 40℃で24時間アセトン溶液に浸漬した後, ガスクロマトグラフのFPD検出器により定量することができた。2) 各繊維への農薬の付着量は, 綿が最も多く, 次いで, ポリエステル, ナイロンの順となった。3) その洗浄性は繊維の種類によって異なり, 綿は洗浄しやすく, 水のみでも可能であった。ナイロンは, 40℃でアルカリ性にしたSDS溶液で優れた効果が認められた。ポリエステルは, 洗浄しにくいが, LASとNCIの界面活性剤によって比較的良好な洗浄効果が得られた。
著者
薛 国栄 飯本 光雄 内野 敏剛
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.53-60, 1996 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

従来の熱風乾燥法にコロナ放電を組入れた乾燥システムにより, 放電に伴うイオン風のシイタケ乾燥促進効果を調べた。温・湿度一定下で, ファンの送風量と放電の印加電圧を変えた結果, イオン風処理区の乾燥速度は対照区の1.4~1.6倍となり, 乾燥時間の短縮が可能であった。イオン風処理区ではシイタケの収縮率が減少する傾向が見られ, イオン風処理によりシイタケの品質向上の可能性が示唆された。処理区のシイタケのヒダは対照区よりわずかに褐変した。イオン風処理による乾燥促進効果は印加電圧の増加とともに増大し, 送風量の増加とともに減少した。イオン風速は印加電圧の一次関数であった。
著者
川村 登 並河 清 藤浦 建史 浦 元信
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.353-358, 1984
被引用文献数
15

トマト等の果菜類の自動収穫を目的として比較的安価で, 消費電力の小さい小型の農業用知能ロボットの試作を行った。マニピュレータは自由度5で, 直流モータ駆動の人間腕型のものとし, その動きを数値制御して果実の把握を行えるようにした。テレビカメラにはMOS形固体撮像素子を用いたものを使用し, 赤信号と輝度信号をコンパレータで比較し2値化してDMAにより画像メモリに入力した。画像入力はカメラを移動して2度行い, ステレオ写真の方法で果実の3次元位置を得た。このロボットを用いて野外で連続した果実収穫実験を試みた。本報では主にマニピュレータのハードウェアとソフトウェアについて, また果実収穫の基本動作の実験結果について報告する。
著者
ジャベル ニザル 野口 伸
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.89-98, 2007-01-01
参考文献数
69
被引用文献数
4

農産物残渣物から得られるバイオガスを, 脱硫・高濃度化し農用車両の燃料へ適用することは, これまでの電気熱源利用同様, 有益な技術である。<br>適用に当たって, 農用車両に用いられるディーゼル機関の点火機構は, 排ガス性能へ直接影響することから, 十分に文献調査した。天然ガスやバイオガスなどのメタンを軽油とともにディーゼル機関の燃料とする二燃料運転では, NO<sub>x</sub>と黒煙を減少させるが, 高負荷ノックを起こし, 低負荷では失火を起こすことが明らかにされている。これら問題の解決方法は世界中で研究されており, 一部実用化に至っているものもあるが, 未だ様々な試みが行われている。
著者
米川 智司 木谷 収 岡本 嗣男 塚井 直樹
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.19-26, 1988 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14

耕うん時の土壌-機械系の力学的挙動の解析に用いるデータを実験的に得るための計測システムの主要部である小型土壌内応力/土壌変位センサおよび土壌成形装置の開発と性能評価を行った。本センサは土壌内応力を小型圧力センサで検出するとともに, 光ファイバの点光源を土壌槽のガラス壁越しに撮影したものをコンピュータ画像処理して土壌変位を求める方式のものである。本センサを複数個用いることで土壌圧縮時の応力やひずみ分布を測定することができ, 土壌成形装置を用いてある一定条件付近の土壌の再生が土壌槽内に行えるようになった。
著者
アーターン W. 小池 正之 瀧川 具弘 余田 章 長谷川 英夫 バハラヨーディン B.
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.130-137, 2001-05-01
参考文献数
14
被引用文献数
3

市販のディーゼル機関搭載トラクタを改造して電気トラクタを試作し, そのエネルギー消費量とけん引性能について実験的解析を行った。供試した密閉式鉛蓄電池の容量を7.2kW・hとしたとき, エネルギー消費量と一回充電走行可能距離はそれぞれ0.60kW・h/kmと8.35kmであった。その結果に基づいて, 実用化に向けた一回充電走行可能距離の改善策について検討した。けん引性能は, アスファルト路面において滑り率14%で5.76kN, 堅硬地において滑り率22%で3.89kNとなり, 実用性に耐えうる性能を発揮するものと推察できた。総合エネルギー伝達効率についても, 予測値に近い水準値を示すことが分かった。
著者
ブラックモア サイモン 長谷川 英夫 瀧川 具弘
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.17-26, 1999-01-01
参考文献数
5
被引用文献数
1

英国の4圃場で得られたばらつきに関する5年間の研究から, 2年分のデータと情報を紹介する。研究対象地区は, 英国の穀物生産地域の50%以上の土壌と諸条件を代表している。完全な土壌標本抽出を含め, 収量データ, 穀物解析, リモートセンシングおよび圃場での作業工程を1995年から記録してきた。多数のデータレイヤーは, 時間的, 空間的なばらつきの原因理解を助ける情報としてまとめられ, 解釈された。
著者
伊藤 信孝 鬼頭 孝治 白 捷
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.11-16, 1994

履帯式車両の旋回性の評価は, 一般に旋回に要する所要エネルギ, 旋回半径, 旋回時間等で評価される。自脱コンバインのように農業仕様のものでは上記の評価項目に加えて, いかに旋回時に圃場表土を乱さないかが大切である。本報では信地旋回, 超信地旋回時に圃場表土が2次元的にどの程度乱されるかを, 比較・検討, 考察した。その結果, 従来の信地旋回方式は超信地旋回に比較して旋回時に圃場が乱される面積が理論的に2倍, 実験的に約1.7倍であることを明らかにした。
著者
シュアイブ M. ファイズ 森泉 昭治 清水 浩
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.61-67, 2002-07-01
被引用文献数
2

本研究はトラクタ運転者の操作技能に関する基礎的データを求め, 歩行型トラクタ操作の習熟過程を人間工学的視点で分析するために実施された。<br>実験結果では, 作業誤差レベルと初心者の生理的負担との間に相関関係があることが注目される。初心者は運転操作実験の初期に作業誤差が大きいが, これは高い精神的緊張と不慣れな動作に起因すると推察される。初心者のトラクタ操作時の生理的負担は, 作業誤差の減少と共に軽減した。諸分析結果より, 初心者が熟練者の技能レベルと生理的負担に到達するには, 正味24時間の運転操作時間が必要であると推定された。また, トラクタ操作の習熟過程は3段階に分け得ることが分かった。
著者
大久保 孝雄 田中 俊一郎 田中 史彦 辻 聡 守田 和夫 ウラサ リチャードルーカス
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.110-116, 2000-09-01

生籾の低温乾燥では品質の劣化を促進する化学反応が抑制されるため, 高品質米の生産が可能であることが示唆されている. 本研究では生籾の充填層および多段式乾燥装置における乾燥解析モデルを構築し, 生籾の冷却乾燥過程における籾水分を予測した. その結果, 実験値と計算値はよく一致し, モデルの妥当性が実験的に検証された. また, 冷却乾燥では水分むらの少ない均一乾燥が達成されることが明らかになった.
著者
田中 俊一郎 田中 史彦 大久保 孝雄 前田 欣治 守田 和夫 ウラサ リチャードルーカス
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.104-109, 2000-09-01
被引用文献数
1

初期含水率23.5%d.b. の生籾 (品種: ヒノヒカリ) の通風乾燥特性について研究を行った。実験は, 5, 10, 15, 20℃の4段階の温度条件に対し, 6.31~87.1%の範囲で7段階の相対湿度条件を設定して, 籾薄層の低温空気通風下における乾燥特性を明らかにした。その結果, 以下の知見を得たので報告する。1) 生籾の乾燥は減率乾燥第2段の乾燥速度式により律速される, 2) 生籾の薄層における乾燥モデル式として球モデルの適合性が高い, 3) 球モデルを仮定することによって決定した乾燥速度定数は温湿度に依存する, 4) 生籾の平衡含水率は Chen-Clayton 式を当てはめることにより温湿度の関数として整理される, 5) 生籾に含まれる水分の蒸発潜熱が熱力学的に算出された。以上の成果は, 生籾の常温以下での乾燥を行う上で基礎となる。
著者
斎藤 正博 玉城 勝彦 西脇 健太郎 長坂 善禎
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.312-317, 2012-07-01
被引用文献数
1

自脱コンバインをベースとし,RTK-GPS,方位センサによる位置,方位情報に基づいて収穫作業を行う無人自脱コンバインを開発した。センシングデバイスや制御アクチュエータ等をモジュール化し,デバイス間の通信規格として CAN バスを採用した。100 m × 30 mの圃場での小麦収穫の作業精度は,長辺方向で RMS0.04 m,短辺方向で RMS0.08 mであり,刈り残しや踏み倒し無く収穫作業が可能であった。無人自脱コンバインの収穫作業全体の作業能率は,手動で行った最外周の周り刈りと排出作業を含めて 18.7 a/hであった。