著者
Shizuwo ISHIGURO Akimitsu FUJIKI
出版者
The Oceanographic Society of Japan
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.191-197, 1955-12-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
6
被引用文献数
1 4

A new method has been described for the analysis of transient phenomena of a hydrodynamic system having a free surface, taking the case of the Bay of Nagasaki as an example. The main operation of the analysis was carried out by an electric network being analogous to the hydrodynamic system and by an electric analogue computer designed for this purpose. In this method, some newly designed techniques for the hydraulic experi-ments have been used to determined the constants of the above network, and these techni-ques themselves may be applied independently to the general hydraulic experiments.
著者
関根 義彦 陳 苗陽
出版者
The Oceanographic Society of Japan
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.277-289, 2003
被引用文献数
3

日本南岸の黒潮流路の変動特性を知るため,1975年から1995年までの都井岬から房総半島沖までの9点からの黒潮の離岸距離を海上保安庁水路部の海洋速報の黒潮流路の中央点との距離として求め,その時間変動を調べた。その結果1975年に発生した黒潮大蛇行は室戸岬から大王崎にかけて離岸距離が大きく御前崎以東で離岸距離が小さいのに対し,1980年以後の五回の大蛇行は室戸岬から潮岬では離岸距離が小さく御前崎以東で離岸距離が大きくなり,大蛇行の流路のパターンが1980年前後で大きく変化していることが示された。大蛇行期ごとの平均距離をみると,1975年発生の大蛇行は伊豆海嶺の三宅島と八丈島の間のゲート領域を通るのに対し,1980年以降発生の大蛇行は平均距離が伊豆海嶺のゲート部よりも南に位置し,C型流路かゲート部を通る流路の選択を強制されることが示唆された。このため1980年以降発生の大蛇行は流路に及ぼす伊豆海嶺の地形効果が大きく,低気圧渦である大冷水塊を伴う大蛇行が比較的短時間で消滅する可能性が示唆された。九州南の潮位差解析により黒潮の南側分流の流量が大きいと都井岬から室戸岬沖の黒潮離岸距離が大きくなり,御前崎から石廊崎沖では離岸距離が小さくなる傾向が示された。一方北部流量が大きくなると,都井岬から潮岬沖の離岸距離が小さくなり御前崎から野島崎沖で離岸距離が大きくなる傾向がある。また,犬吠埼沖では黒潮の離岸距離が九州南の潮位差と有意な相関を示さない。
著者
渡慶次 力 柳 哲雄
出版者
The Oceanographic Society of Japan
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.475-491, 2004
被引用文献数
2

瀬戸内海沿岸と太平洋沿岸の潮位記録,人工衛星から得られた海面高度偏差記録,黒潮流轄の位置記録,四国沖の水温・塩分鉛直断面観測記録を用いて,2001年9月17日から20日に広島で発生した冠水被害を伴う高潮位の原因について研究した。その結果,近年広島における年平均潮位は地盤沈下により上昇(5.0mm y<SUP>-1</SUP>)しているため,潮位の季節変動が最大値をとる夏季から秋季に高潮泣か発生しやすい傾向にあることが判明した。特に,2001年9月に広島で発生した冠水被害を伴う高潮位は,これらの要因に瀬戸内海を含む太平洋沿岸の+10cm程度,約4か月周期を持つ海面上昇が重なったために発生した。高潮位に影響を与えた約4か月周期の海面上昇は,四国沖約250kmの海面高度偏差が負であり,四国沖の黒潮の接岸傾向時に発生していた。四国沖の海面高度偏差の変動は,中規模渦によるものと類推され,それが四国沖の黒潮離接岸に影響を与えて,瀬戸内海を含む四国沿岸における約4か月周期の海面昇降をもたらした可能性がある。近年の広島における年平均潮位は地盤沈下に伴い上昇傾向にあるために,夏季から秋季の大潮時に太平洋から瀬戸内海へ偏差10cm程度の海洋擾乱が加わると,通常の満潮面から約30cm 高いところに建造されている厳島神社においては,冠水被害を伴う高潮位が今後も頻繁に発生する可能性がある。