著者
高橋 知音
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.172-188, 2022-03-30 (Released:2022-11-11)
参考文献数
66

発達障害のある大学生(入試の受験者を含む)の能力をテストで適切に評価するために,実施方法の変更・調整(テスト・アコモデーション)が必要になる場合がある。本稿では,発達障害のある大学生へのテスト・アコモデーションにおいて,エビデンスに基づいて適切な判断を行えるようにするための資料を提供することを目的とする。そして,より適切な判断ができるように,今後さらにどのような研究が必要か,近年の研究動向をふまえて提言する。国内外の関連研究をレビューした結果,試験時間延長は発達障害のある学生に効果的であることが示された。記述試験におけるパソコンを使った解答は,タイピングに習熟すれば有効である。文字の拡大等,問題提示方法の変更は,発達障害のある学生対象の研究ではないものの,解答時間が長くなる可能性が示されている。別室受験は,有効性のみられる人がいる一方,LD,ADHDのある学生全体としては効果がみられず,むしろ成績を低下させる場合もある。発達障害のある学生は個人差が大きいことから,個別ケースにおける判断においても,研究においても,診断名ではなく,機能障害の状態の評価結果を重視することが求められる。

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J-STAGE Articles - 発達障害のある大学生へのエビデンスに基づいたテスト・アコモデーション https://t.co/MyKKNhRGrF
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