著者
杉山 寿美 水尾 和雅 野村 知未 原田 良子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.411-416, 2011 (Released:2014-04-25)
参考文献数
20

本研究は,長時間の湿式加熱におけるコラーゲンの構造変化(酸可溶性コラーゲン(ASC),ペプシン可溶化コラーゲン(PSC),不溶性コラーゲン(ISC)量の変化)とそれに伴う脂質量の変動,さらに植物プロテアーゼの影響について明らかとすることを目的とし,豚角煮を試料として実験を行った。蒸し加熱後には,ISCは認められず,ASCは有意に増加,PSCは有意に減少した。その後の煮る過程でのPSCの減少は有意ではなかった。生姜搾汁あるいはキウイフルーツ果汁を添加した場合,蒸し加熱後ではコントロールと同程度であったが,続く煮る過程ではPSCは減少し,キウイフルーツ果汁を添加した場合にコントロールよりも有意な減少を示した。この煮る過程におけるPSCの減少は,蒸し加熱前および蒸し加熱初期に植物プロテアーゼがコラーゲンのテロペプタイド部位および熱変性部位に作用した結果であると推察された。いずれの条件でも調理後の脂肪およびコレステロールは減少した。キウイフルーツ果汁を添加した場合は,コントロールよりも有意な脂肪量およびコレステロール量の減少が認められた。これらのことから,豚塊肉の調理では,加熱によりコラーゲン繊維は脆弱化するものの,脂肪の多くは保持されること,キウイフルーツ果汁を添加した場合にコラーゲン繊維が脆弱化し,脂肪およびコレステロールの溶出が増加することが示された。

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