著者
苅谷 愛彦 清水 長正 澤部 孝一郎 目代 邦康 佐藤 剛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.386-399, 2014-09-01 (Released:2019-10-05)
参考文献数
25

山地の解体過程において,大規模地すべりの時間的推移を詳しく検討することは重要である.本論文は,このような視点から関東山地南部・三頭山(標高1,531 m)北西面の大規模地すべりをとりあげ,踏査や空中写真判読,年代測定に基づき,その地形・地質的特徴と発生年代を論じたものである.この大規模地すべりは三頭山山頂から西北西方向に伸びる稜線の直下で発生し,滑落崖を形成した.地すべりで斜面物質は約1.5 km移動し,谷壁や谷底に堆積した.地すべり移動体はジグソー・クラックを伴う厚い礫層からなり,堰き止めを起こし湖沼・氾濫原を形成したとみられる.初生地すべりはcal AD 1292~1399(鎌倉時代~室町時代)かそれ以前に発生し,二次地すべりがcal AD 1469~1794(室町時代~江戸時代後期)に生じた.山麓の集落には,湖沼・氾濫原の決壊や二次地すべりを示唆する伝承が残されていることも判明した.

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