著者
井戸 庄三
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.285-299, 1976-05-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
35

明治22年 (1889) の町村合併で誕生した新町村の名称について,茨城・埼玉など15府県の4,041町村を対象に検討を加えた.新町村名を, A (歴史的広域名称), B (中心地名称), C (合成名称), D (並列名称), E (自然名称), F (社寺名称), G (歴史遺跡名称), H (地形名称), I (狭域名称), J (人為名称)などに類型区分すると, Aが1,277町村で全体の31.6%を占めて第1位であり, Bが1,089町村でこれにっいでいる.以下, J・C・Eの順となり,これら5類型で3,567町村を数え,全体の88.3%に達する.これを府県別にこまかくみると,かなり多彩な特色が認められる.滋賀県は郷・庄名の継承を優先したためAの比率がきわめて高く,福岡県もAおよびBに重点をおいたので,この両県では歴史と伝統に恵まれた新町村名が選定された.これに対して, Cが高率である広島県とJが異常に多い千葉県は,新町村名の選定に関するかぎり,問題の多いケースといえる.

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井戸庄三氏は長く滋賀医科大学(!)に勤めた歴史地理学者。明治の町村合併で生まれた町村名を類型化した論文が面白い。 「明治22年新町村名の研究」地理学評論 49(5), 285-299, 1976 https://t.co/wpUABOuXhn https://t.co/HH7axgJekc

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