著者
大橋 めぐみ
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.139-153, 2002-03-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
23
被引用文献数
3 3

本研究では,日本の条件不利地域における小規模なルーラルツーリズムの可能性と限界を明らかにするため,長野県栄村秋山郷の事例を取り上げ,ツーリズムの需給構造ならびにツーリズム資源となるルーラルアメニティの保全との関連に注目して検討した.秋山郷を訪れるツーリストは,ルーラルアメニティを構成する要素のうち自然的・文化的要素への関心が高く,リピーターを中心に満足度も高い.しかし,農業的要素への需要は十分満たされていない.地域住民は,農業や建設業との複合経営の一環として,低コストで小規模な宿泊施設を経営してきたが,近年は経営の維持が困難となっている.こうしたツーリズムは文化的要素の維持には貢献してきたものの,農業的要素の維持には結び付いてこなかった.ルーラルアメニティの劣化はツーリズム自体の存立を脅かすものであるが,その保全のためにはツーリストやツーリズムに携わる住民のみでなく,地域住民全体を含めた保全の枠組が必要である.

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【地理学評論掲載論文】大橋めぐみ 2002.日本の条件不利地域におけるルーラルツーリズムの可能性と限界―長野県栄村秋山郷を事例として.地理学評論75: 139-153.https://t.co/wxKcEk6lGf

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