著者
岡橋 秀典
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.463-480, 2007-07-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

本稿では, インドの技能労働者養成に大きな役割を果たすITI (産業訓練校) に注目し, それによる人的資源開発の特質と問題点について考察した. インドのITIの設置は1980年代から増勢を強め, 1990年代以降急増している. またITIの分布には地域的な偏りがあり, 南インドに多く北インドで少ない. 近年のインドにおけるITIの急増は, 主に南インドでの増加によっていることが大きな特徴である. これは, この地域の初等教育における高い就学率と, 海外出稼ぎに代表される就業機会によると推察される. ITIによる人的資源開発には, 修了者の失業問題や企業内部労働市場での地位の固定性など, 問題も少なくないが, 南インドのバンガロールのITIの事例では, 大規模な政府校および一部の民間校を中心に, 水準が高いものがあることが判明した. ITIは分布が広範で収容力も大きい点で, 今後, 教育内容の改善が進められれば, インドにおける人的資源開発, 雇用問題の緩和に資する大きな可能性を持つと考えられる.

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【地理学評論掲載論文】岡橋秀典 2007.インドにおけるITI (産業訓練校) 教育の展開と人的資源開発-バンガロールの事例を中心として-,地理学評論80,463-480.https://t.co/C77xZrmgJr

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