著者
石濱 史子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.21-40, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
110
被引用文献数
12

博物館の標本情報や市民調査による観察情報などに代表される、不在情報がない分布データは、在のみデータと総称される。GBIF(Global Biodiversity Information Facility)などの公開データベースの整備により、在のみデータは分布推定に広く用いられるようになり、その成果が保全生物学分野でも幅広く応用されている。しかし、在のみデータに基づく分布推定に際しては、不在情報がないことに起因する特有の注意点が生じる。特に注意が必要なのが、サンプリングバイアスの存在と、バイアスに対応した偽不在(pseudo-absence)の選び方、推定値が分布確率そのものではない場合が多いこと、推定精度の評価指標の値が偽不在の選び方に依存して変わることである。在のみデータに基づく分布推定を、保全対策に適切に活用するためには、これらの注意点とその対処法を十分に理解することが欠かせない。これらの注意点と対処法に関して、蓄積されつつある海外での報告事例を紹介する。

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標本情報等の分布推定への活用とその実際:バイアスの除去から精度評価まで https://t.co/qwtqThmCIH
標本情報等の分布推定への活用とその実際: バイアスの除去から精度評価まで (日本語論文。現時点では要旨のみ閲覧可能) https://t.co/ulYhGM7NAa やはりこうした情報を用いる場合、標本情報からは不在データが得られないことや、また分布情報の偏りに注意すべきとのことです。

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