著者
石濱 史子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.21-40, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
110
被引用文献数
12

博物館の標本情報や市民調査による観察情報などに代表される、不在情報がない分布データは、在のみデータと総称される。GBIF(Global Biodiversity Information Facility)などの公開データベースの整備により、在のみデータは分布推定に広く用いられるようになり、その成果が保全生物学分野でも幅広く応用されている。しかし、在のみデータに基づく分布推定に際しては、不在情報がないことに起因する特有の注意点が生じる。特に注意が必要なのが、サンプリングバイアスの存在と、バイアスに対応した偽不在(pseudo-absence)の選び方、推定値が分布確率そのものではない場合が多いこと、推定精度の評価指標の値が偽不在の選び方に依存して変わることである。在のみデータに基づく分布推定を、保全対策に適切に活用するためには、これらの注意点とその対処法を十分に理解することが欠かせない。これらの注意点と対処法に関して、蓄積されつつある海外での報告事例を紹介する。
著者
小川 みふゆ 松崎 紗代子 石濱 史子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1908, 2020-03-05 (Released:2020-06-28)
参考文献数
8

1/25,000植生図を土地利用図として読み替えて用いるための新たな全国標準土地利用メッシュデータの凡例の集約の指針を作成した。あわせて以前の 1/50,000植生図から作成した全国標準土地利用メッシュデータとの紐付けを行った。土地利用図凡例の大分類( 9分類)と中分類( 16分類)については 1/50,000植生図との凡例対応表に変更がないため、 1/50,000植生図から作成した全国標準土地利用メッシュデータと同様に利用することができ、時系列として使うことも可能である。細分類については、新たにシカ食害や外来種に関する 8細分類を追加し 3細分類に修正を加えた。
著者
深澤 圭太 石濱 史子 小熊 宏之 武田 知己 田中 信行 竹中 明夫
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.171-186, 2009-07-31
被引用文献数
7

野外の生物の分布パターンは生育に適した環境の分布や限られた移動分散能力などの影響をうけるため、空間的に集中した分布を持つことが多い。データ解析においてはこのような近隣地点間の類似性「空間自己相関」を既知の環境要因だけでは説明できないことが多く、近い地点同士ほど残差が類似する傾向がしばしば発生する。この近隣同士での残差の非独立性を考慮しないと、第一種の過誤や変数の効果の大きさを誤って推定する原因になることが知られているが、これまでの空間自己相関への対処法は不十分なものが多く見られた。近年、ベイズ推定に基づく空間統計学的手法とコンピュータの能力の向上によって、より現実的な仮定に基づいて空間自己相関を扱うモデルが比較的簡単に利用できるようになっている。中でも、条件付き自己回帰モデルの一種であるIntrinsic CARモデルはフリーソフトWinBUGSで計算可能であり、生物の空間分布データの解析に適した特性を備えている。Intrinsic CARモデルは「空間的ランダム効果」を導入することで隣接した地点間の空間的な非独立性を表現することが可能であると共に、推定された空間的ランダム効果のパターンからは対象種の分布パターンに影響を与える未知の要因について推察することができる。空間ランダム効果は隣接した地点間で類似するよう、事前分布によって定義され、類似の度合いは超パラメータによって制御されている。本稿では空間自己相関が生じるメカニズムとその問題点を明らかにした上で、Intrinsic CARモデルがどのように空間自己相関を表現しているのかを解説する。さらに、実例として小笠原諸島における外来木本種アカギと渡良瀬遊水地における絶滅危惧種トネハナヤスリの分布データへの適用例を紹介し、空間構造を考慮しない従来のモデルとの比較からIntrinsic CARモデルの活用の可能性について議論する。
著者
深澤 圭太 石濱 史子 小熊 宏之 武田 知己 田中 信行 竹中 明夫
出版者
日本生態学会暫定事務局
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.171-186, 2009 (Released:2011-04-05)

野外の生物の分布パターンは生育に適した環境の分布や限られた移動分散能力などの影響をうけるため、空間的に集中した分布を持つことが多い。データ解析においてはこのような近隣地点間の類似性「空間自己相関」を既知の環境要因だけでは説明できないことが多く、近い地点同士ほど残差が類似する傾向がしばしば発生する。この近隣同士での残差の非独立性を考慮しないと、第一種の過誤や変数の効果の大きさを誤って推定する原因になることが知られているが、これまでの空間自己相関への対処法は不十分なものが多く見られた。近年、ベイズ推定に基づく空間統計学的手法とコンピュータの能力の向上によって、より現実的な仮定に基づいて空間自己相関を扱うモデルが比較的簡単に利用できるようになっている。中でも、条件付き自己回帰モデルの一種であるIntrinsic CARモデルはフリーソフトWinBUGSで計算可能であり、生物の空間分布データの解析に適した特性を備えている。Intrinsic CARモデルは「空間的ランダム効果」を導入することで隣接した地点間の空間的な非独立性を表現することが可能であると共に、推定された空間的ランダム効果のパターンからは対象種の分布パターンに影響を与える未知の要因について推察することができる。空間ランダム効果は隣接した地点間で類似するよう、事前分布によって定義され、類似の度合いは超パラメータによって制御されている。本稿では空間自己相関が生じるメカニズムとその問題点を明らかにした上で、Intrinsic CARモデルがどのように空間自己相関を表現しているのかを解説する。さらに、実例として小笠原諸島における外来木本種アカギと渡良瀬遊水地における絶滅危惧種トネハナヤスリの分布データヘの適用例を紹介し、空間構造を考慮しない従来のモデルとの比較からIntrinsic CARモデルの活用の可能性について議論する。
著者
深澤 圭太 石濱 史子 小熊 宏之 武田 知己 田中 信行 竹中 明夫
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.171-186, 2009-07-31 (Released:2017-04-20)
参考文献数
51
被引用文献数
10

野外の生物の分布パターンは生育に適した環境の分布や限られた移動分散能力などの影響をうけるため、空間的に集中した分布を持つことが多い。データ解析においてはこのような近隣地点間の類似性「空間自己相関」を既知の環境要因だけでは説明できないことが多く、近い地点同士ほど残差が類似する傾向がしばしば発生する。この近隣同士での残差の非独立性を考慮しないと、第一種の過誤や変数の効果の大きさを誤って推定する原因になることが知られているが、これまでの空間自己相関への対処法は不十分なものが多く見られた。近年、ベイズ推定に基づく空間統計学的手法とコンピュータの能力の向上によって、より現実的な仮定に基づいて空間自己相関を扱うモデルが比較的簡単に利用できるようになっている。中でも、条件付き自己回帰モデルの一種であるIntrinsic CARモデルはフリーソフトWinBUGSで計算可能であり、生物の空間分布データの解析に適した特性を備えている。Intrinsic CARモデルは「空間的ランダム効果」を導入することで隣接した地点間の空間的な非独立性を表現することが可能であると共に、推定された空間的ランダム効果のパターンからは対象種の分布パターンに影響を与える未知の要因について推察することができる。空間ランダム効果は隣接した地点間で類似するよう、事前分布によって定義され、類似の度合いは超パラメータによって制御されている。本稿では空間自己相関が生じるメカニズムとその問題点を明らかにした上で、Intrinsic CARモデルがどのように空間自己相関を表現しているのかを解説する。さらに、実例として小笠原諸島における外来木本種アカギと渡良瀬遊水地における絶滅危惧種トネハナヤスリの分布データへの適用例を紹介し、空間構造を考慮しない従来のモデルとの比較からIntrinsic CARモデルの活用の可能性について議論する。
著者
武田 知己 小熊 宏之 石濱 史子 竹中 明夫
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.237-244, 2010-03-10 (Released:2011-04-04)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1

Information on the ground surface can now be acquired easily and highly accurately using digital aerial photographs. A digital canopy model (DCM), which is calculated by subtracting a digital terrain model (DTM) from a digital surface model (DSM) of the vegetation, provides useful information for studies of wild animal habitats and plant species distributions. However, DCMs have been used mainly for forests, and their validity for herbaceous plants requires further verification. In this study, we used the ADS40 airborne digital sensor to clarify the relationship between a DCM and the height of herbaceous species. Our study area was the Watarase wetland in the northern Kanto Plain, central Japan. Suitable habitats for the many rare plants found in this wetland are maintained by controlled burning in early spring. We acquired three DSMs: just after the controlled burn in April 2006; in August 2006, when the vegetation height peaked; and in April 2007, also just after the controlled burn. We calculated the DCM based on the difference between the August DSM and a DTM developed by using the minimum height values from the two April DSMs. We also performed a field survey during the August DSM acquisition, during which we measured the height of the uppermost leaves with a measuring pole at 16 measurement points and estimated the vegetation structure from photosynthetic photon flux density (PPFD) profiles measured with quantum sensors at each point. The calculated DCM height correlated very well to the height of the uppermost leaves (r2 = 0.96), although it was about 100 cm lower. In contrast, the DCM and the height of maximum intercepted PPFD were highly correlated (r2 = 0.97) and showed a 1:1 relationship.