著者
古瀬 祐気
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.59-70, 2022-04-28 (Released:2022-05-26)
参考文献数
13

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは,その理解や流行制御のために数理モデルがリアルタイムで幅広く用いられた初めての機会であったと言える。数理モデルによる予測には,感染者数の推移パターンを記述する統計モデルと,感染が拡大するメカニズムを内包したSIRモデルがある。これらのモデルを用いて,本感染症の基本的な性質の解明,過去の状況や対策の評価,実社会と流行動態の関係の理解,未来の予測を行うことができる。予測に関しては,プロジェクション・シナリオ分析・予報など様々な目的に対して数理モデルが利用された。一方で,その理解や活用において,政治行政・専門家・市民それぞれに課題があり,その最たるものはコミュニケーションであった。今後,感染症に限らず多彩な場面で数理モデルが使われるようになると思われる。これからは,専門家だけでなく皆が数理モデルの性質や限界を正しく理解していくことが重要であり,その上で互いの立場や価値観の相違も踏まえた建設的な議論が求められる。

言及状況

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[モデル] 数式を使わない説明。

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@RebootS2 @terrythefunk その辺の限界に関しては古瀬さんが書いてくれてましたね https://t.co/wCGCVY4tx4
新型コロナウイルス感染症の予測に関する数理モデル|感染症数理モデルの実際と活用と課題について,数式を一切使わない論考|医療と社会_2022 年 32 巻 1 号 p. 59-70 https://t.co/c4xdma1Ex3
たまには提起。 J-STAGE Articles - 新型コロナウイルス感染症の予測に関する数理モデル https://t.co/6YDazPsiXR
うなずきまくってしまった。 https://t.co/jhZFA2ZhLY
@ykfrs1217 医療と社会2022年32巻第1号にて掲載されたあなたの論文において、西浦氏の2020年4月に発表されたとするものは、論文内の記述で間違いありませんか? https://t.co/NSmvZlVwMo
勘弁してください >今後,感染症に限らず多彩な場面で数理モデルが使われるようになると思われる。 J-STAGE Articles - 新型コロナウイルス感染症の予測に関する数理モデル https://t.co/Ro0RnzvZIL
新型コロナウイルス感染症の予測に関する数理モデル https://t.co/OEx9mQh3WX
怒られるかもだけど...
「医療と社会」という内閣府が主務の雑誌に、政治からも専門家からも全方面から怒られそうな論考が掲載されました。もう、偉くなれない(ならない)… 1. 数理モデルとは 2. モデルの目的 3. 市民の理解 4. 政府の思惑 5. 専門家の葛藤 6. これから https://t.co/FlYtTp1xhC

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