著者
大桃 美穂 鶴若 麻理
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-21, 2018-09-29 (Released:2019-08-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2

アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning、以下 ACPとする) のプロセスの中で重要な位置を占める「ケア提供者―療養者間」のコミュニケーションとケアがいつどのようになされることが療養者の望む生き方の実現と結びつきやすいのか「独居高齢者―訪問看護師間」の援助の分析を通してACPのプロセスと具体的支援を考察した。経験年数3年以上の訪問看護師26名を対象に半構造化面接を行い、提供された36事例を分析した。ACPを促進する要因として【療養者から専門職として信頼される】【療養者の意向を明らかにする】【選択肢を提示する】【不安の原因を探り軽減するよう関わる】【迅速な支援と技術で意向を実現するタイミングを逃さない】の5 つの構成要素と各要素を達成するための具体的支援を抽出した。ACPの障壁となる要因として【信頼関係が築けない】【意向がわかりづらい】【医療者の判断と療養者の意向に相違がある】【不安が解消されない】【療養者の意識レベルがクリアでない】【療養者の価値観と在宅支援方法の対立がある】の6 つの構成要素を抽出した。「ACPを促進する要因」「ACPの障壁となる要因をとりのぞくために訪問看護師が考慮すべき事項」を援助に取り入れることは、在宅ケアにおけるACPの質を担保することにつながると示唆された。

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