著者
松井 圭介 堤 純 吉田 道代 葉 倩瑋 筒井 由起乃
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.131-142, 2015 (Released:2018-04-04)

本稿では,現代における聖地ウルルの観光動態および聖地をめぐる場所のポリティクスを,先住民文化としての聖地の管理・保全と資源化の視点 から検討した。ウルルにおけるツーリズムの動態について略述したうえで,聖地をめぐる管理とツーリストの動き,先住民の宗教的世界と土地所有をめぐる概念について検討し,最後に聖地をめぐる場所のポリティクスの視点から考察した。ウルルは先住民(アナング族)の人びとにとって,神話的な意味世界の中心として重要な意味を持つと同時に,観光資源としての高い価値を有している。したがってウルル登山は,聖地とツーリズムの間の緊張関係をもたらす。両者の相剋はステークホルダー(先住民,政府,ツーリストなど)間だけでなく,内部においても多様であり,ウルル登山の制限をめぐる場所のポリティクスは,「先住民文化の真正性」と「政府の努力」と「ツーリストの満足感」を担保する装置として機能していることが考えられる。

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「聖地ウルルをめぐる場所のポリティクスとアウトバックツーリズム」https://t.co/AdvnMEEgJR ウルルの観光地化に関わるコンフリクトと共犯関係について。「登らない」ことがエスニック・ツーリズムの真正性を高めるという論理は面白い。 https://t.co/BUVeuvDPWM

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