著者
小野田 亮介
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.158-174, 2021-06-30 (Released:2021-07-21)
参考文献数
16
被引用文献数
1 4

本研究の目的は,文章産出において書き手が想定する仮想の読み手に着目し,(1)読み手に合わせた文章産出が困難化する原因を解明し,(2)読み手に合わせた文章産出を促す方法について考案することである。研究1では,中学校2年生の1学級に対して,教示した読み手を説得するための文章産出課題を実施し,文章産出時に想定した仮想の読み手の特徴を報告するように求めた。その結果,読み手を教示したにもかかわらず,読み手を漠然と想定していたり,教示と異なる読み手を想定したりする生徒が認められ,具体的に読み手を想定したと報告する生徒であっても,読み手に合わせた文章を産出しない事例が認められた。そこで研究2では,中学校1年生の2学級を対象とし,読み手の想定を求める「対照条件」と,読み手を記述して固定する「可視化条件」との間で,仮想の読み手の特徴や文章の比較を行った。その結果,対照条件に比べ,可視化条件ではより具体的に読み手が想定されており,文章内の情報量や文章の説得力も増加していた。一方,読み手を可視化していても,文章産出前後で読み手の情報が精緻化されたり,質的に変化したりする読み手情報の変動性も認められた。

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