著者
酒井 厚 菅原 ますみ 眞榮城 和美 菅原 健介 北村 俊則
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.12-22, 2002-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
42
被引用文献数
9 9

本研究では, 中学生の学校適応の諸側面について, 親および親友との信頼関係との関連から検討した。学校適応は, 教室にいるときの気分 (反抗的・不安・リラックス) と学校での不適応傾向 (孤立傾向・反社会的傾向) について測定した。縦断研究に登録されている中学生270名 (13.7歳) とその両親 (母279名; 父241名) を対象に解析を行い以下の結果を得た。1) 親子相互の信頼感において, 子どもの学校適応に影響を与えているのは子が親に抱く信頼感の方であり, 親が子に抱く信頼感は関連が認められなかった。また, 子が親に抱く信頼感に関しては, 母親に対するものばかりではなく父親に対する信頼感も学校適応に重要な役割を担うことが示唆された。2) 親子間相互の信頼感得点の高低から分類した親子の信頼関係タイプによる結果では, 総じて親子相互信頼群の子どもの学校適応がほぼ良好であるのに対し, 親子相互不信群の子どもは学校に不適応な傾向が示された。3) 親友との信頼関係が学校適応に与える影響に関しては, 学校で不適応な傾向にある親子相互不信群において特徴が見られ,「孤立傾向」や「リラックスした気分」の変数では学校への適応を良くする防御要因として働く一方で,「反社会的傾向」の得点はより高めてしまうという促進要因ともなりうることが示された。

言及状況

外部データベース (DOI)

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研究はあります。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/50/1/50_12/_pdf 親友との信 頼関係がある場 合 に,学校での反社会的な問題行動傾向が高まる可 能性が示された。 その一方で,親 からの一方向的な信頼感 は,子 どもの 「反社会的傾向」 に対 してはプラスな役割を果た していることが示されている。 子 ...

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①子が親に抱く信頼感が学校適応にポジティブに影響する、②親子の高い信頼関係は低い場合よりも学校適応が良好、③学校適応において、親子間の信頼関係が高い場合、親友の存在がポジティブに、逆に信頼関係が低い場合、親友の存在がネガティブに働く。 / 酒井他 (2002) https://t.co/RYKh1nWuTV

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