著者
進藤 聡彦 麻柄 啓一 伏見 陽児
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.162-173, 2006-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

これまで学習者の誤概念を修正するために, 反証例を用いる方法と用いない方法の2つのタイプの教授法が提案されてきた。しかし, これらの方法はそれぞれに短所を持つ。本研究ではこれら2つの教授法を組み合わせた新しい方法を提案した。それは以下の方法であった。まず, 誤概念を適用した場合には正しい解決ができない問題を提示する。続いて誤概念を持っていても解決可能な類似の問題を提示する。その問題での正しい解決に基づいて, 学習者に正しいルールを把握させ, さらにそのルールを一連の類似問題に対して適用できるようにするというものである。この方法と従来の2つの方法が誤概念の修正に及ぼす効果を検討した。76名の大学生が3群のいずれかに割り当てられた。被験者の多くは, 真空は物を吸い寄せるという誤概念を持っていた。実験の結果, 今回提案した方法は他の2つの方法より次の3点で優れていることが明らかとなった。まず, 学習者の誤概念を最も効果的に修正できた。また, 自分の知識が変化したという意識を学習者に持たせやすかった。さらに学習者の興味を喚起した。今回提案した方法は誤概念の修正に効果的であることが明らかとなった。この方法は「融合法」と名づけられた。

言及状況

外部データベース (DOI)

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【論文】進藤他(2006) 教心研/誤概念の修正をうながすストラテジーとして「反証法」「迂回法」「融合法」の3つを比較検討。この中で「融合法」は、最も効果的に誤概念の修正を引き起こし、学習者が自身の知識変化を自覚しやすく、学習者の興味を喚起していた。https://t.co/xYdcc4O8k9 https://t.co/9FR1deR6T2

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