- 著者
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黒川 雅幸
吉田 俊和
- 出版者
- 日本グループ・ダイナミックス学会
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.1, pp.1-13, 2016 (Released:2016-10-06)
- 参考文献数
- 29
- 被引用文献数
-
1
本研究の主な目的は,大学新入生を対象に,アプリケーションソフト「LINE」によるネットワークと,友人満足感および精神的健康との関連を明らかにすることであった。調査対象者は,同じ専攻の大学1年生62名(男性23名,女性39名)であり,5月中旬と7月中旬の2回にわたって質問紙調査を実施した。5月と7月のいずれの時期においてもFTFネットワークとLINEネットワークには正の相関がみられた。また,5月と7月のLINEネットワークの類似性は,5月と7月のFTFネットワークの類似性と比べても小さかった。5月から7月にかけてのFTFコミュニケーションの人数は有意な変化がなかったのに対し,クラスメンバーを含むLINEグループの数は増加し,最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含むLINEグループの人数は減少した。クラスメンバーを含むLINEグループの数は精神的健康の各下位尺度と無相関であったが,LINEネットワークの中心性は5月において友人満足感と有意傾向の正の相関がみられ,うつ傾向とは7月において負の相関がみられた。また,LINEへのアクセス回数は,5月において友人満足感と正の相関が示された。