- 著者
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小関 玲奈
羽藤 英二
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.3, pp.674-681, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
- 参考文献数
- 21
巨大災害や紛争後の避難は長期に及ぶプロセスとなるため,住宅再建支援政策を時空間制御する枠組みが必要である.そこで本研究は,発災後の長期避難プロセスを不確実性下における再帰的経路選択問題としてモデル化し,動学的ネットワークデザインにより補助政策の時空間配分を最適化することで,復興政策の修正に向けた枠組みを構築することを目的とする.また,復興期の居住地選択における地域コミュニティの相互作用を次時点の期待人数としてモデル化(外部性項)し,構造推定により内生的に推定することで,推定バイアスを軽減することを試みる.実データによる東日本大震災のケーススタディでは,外部性項は正に有意な値として推定され,集団移転等の正の外部性を促進する政策の有用性と人口転出地域ではさらに転出が加速する可能性が示唆された.動的居住地選択モデルをもとに人口移動配分を行い,家賃補助を時空間ネットワーク上で最適化するネットワークデザイン問題を定式化した.ケーススタディでは発災直後のデータのみで最適化した計画と,5年後に新たなデータをもとに計画修正を行うケースとを比較し,補助政策の時空間制御の可能性と計画修正の有用性を示した.