著者
仁田 雄介 髙橋 徹 熊野 宏昭
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.58-66, 2016-12-31 (Released:2016-12-31)
参考文献数
37

消去訓練を行うと消去学習が成立し,恐怖条件づけによる恐怖反応が抑制される。しかし,消去学習は恐怖記憶を改変しないため,恐怖反応の再発が起こる。消去学習を利用した技法はエクスポージャー療法と呼ばれており,不安症の治療に用いられている。エクスポージャー療法後にも不安症が再発する可能性が示唆されており,再発を防ぐ治療法が必要とされている。そこで,記憶再固定化というメカニズムが注目されている。記憶痕跡は固定化すると改変できないと従来は考えられていた。しかし近年,想起によって固定化された記憶痕跡が不安定になり,その後再固定化することが明らかになった。再固定化が進行している間は,想起した恐怖記憶を改変できることが示されている。そして,再固定化進行中の消去訓練は恐怖反応の再発を防ぐことが,近年の研究によって示唆されている。今後,不安症に対する再固定化を利用した介入の有効性の検討を進める必要がある。

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新年初読書、『インターフェイスデザインの心理学』読んでて「このClemって人の実験知ってるな」(https://t.co/Yf9T9cxTC7)と思ったらこのAMPAレセプタと恐怖記憶消去実験、恐怖記憶のアップデートやってる後輩の論文(https://t.co/fnrQVKhgx8)で読んだんだった。やっとこの業界の感じがわかった。
仁田雄介・髙橋徹・熊野宏昭(2016). 記憶再固定化進行中の行動的介入による恐怖記憶のアップデート 不安症研究 8(1), 58-66. doi:10.14389/jsad.8.1_58. https://t.co/Zu1yosnipl

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