著者
楠原 浩一 高田 英俊 原 寿郎
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
サルコイドーシス/肉芽腫性疾患 (ISSN:13450565)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.9-19, 2007-10-01 (Released:2010-08-06)
参考文献数
28

マクロファージ内における寄生菌の殺菌を担うIL-12/IFN-γ経路は, 結核菌をはじめとする抗酸菌に対する免疫機構の中できわめて重要な役割を果たしている. 近年, 明らかな細胞性免疫不全のないBCG重症副反応例や非結核性抗酸菌感染症患者の中に, 本経路のサイトカイン, サイトカイン受容体, シグナル伝達物質の遺伝子変異を有する症例が存在することが明らかになってきた. この一連の免疫異常症では結核菌に対する易感染性も認められる. 本稿では, 本邦で初めて見出された常染色体優性遺伝IFN-γ受容体1部分欠損を中心に, IL-12/IFN-γ経路異常症の各病型の臨床像, 病態生理, 遺伝子解析について述べる. また, 肺結核患者を対象としてIL-12/IFN-γ経路の関連分子を中心とした候補遺伝子のスクリーニングを行った結果, 日本人においてIL-12受容体β1遺伝子 (IL12RB1) の特定の多型が結核感受性や結核の重症度に関連していることが明らかになったので, その成績を併せて紹介する.

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