著者
高田 英俊 峯岸 克行
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.15-19, 2010 (Released:2010-02-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2

高IgE症候群は,乳児期早期から始まる難治性湿疹,反復性黄色ブドウ球菌感染症(皮膚,肺,関節,軟部組織など)によって特徴づけられ,高IgE血症を示すまれな原発性免疫不全症である.これらの症状以外に,顔貌異常,易骨折,側彎,関節過伸展,乳歯脱落遅延などを呈することも多く,multisystem diseaseの病像を呈する.この優性遺伝形式をとる高IgE症候群に加えて,劣性遺伝形式を示すものもある.高IgE症候群の原因は長年不明であったが,STAT3, TYK2, DOCK8などの責任遺伝子が解明され,その病態が次々と明らかになりつつある.
著者
花木 麻衣 宮園 弥生 永藤 元道 竹内 秀輔 梶川 大悟 日高 大介 金井 雄 小畠 真奈 高田 英俊
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.43-48, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
18

分娩施設外での非計画的分娩により出生した新生児(以下,病院前出生児)の初期対応は主に救急隊が行うが,その教育体制は未だ確立していない.救急隊への周産期救急教育の課題を見出すことを目的に本研究を行った.2008年1月〜2018年12月の11年間で,救急隊による初期対応を受け当院に搬送された病院前出生児は40例であった.救急隊の分娩立ち会いは23例(57.0%)で,出生時の処置は32例(80.0%)がルーチンケアのみであったが,5例で人工呼吸を要し,そのうち1例では胸骨圧迫も要した.アプガースコアの採点は16例(40.0%)にとどまり,児の状態把握が不十分である可能性が示唆された.児の異常所見では体温36.0℃未満の低体温が最も多く24例(60.0%)に認め,保温方法にも課題が残ると考えられた.救急隊が周産期救急に関連した講習会を受ける機会は増えており,これらの課題に重点を置き,より実践的なシミュレーション教育を行うことが望まれる.
著者
楠原 浩一 高田 英俊 原 寿郎
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
サルコイドーシス/肉芽腫性疾患 (ISSN:13450565)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.9-19, 2007-10-01 (Released:2010-08-06)
参考文献数
28

マクロファージ内における寄生菌の殺菌を担うIL-12/IFN-γ経路は, 結核菌をはじめとする抗酸菌に対する免疫機構の中できわめて重要な役割を果たしている. 近年, 明らかな細胞性免疫不全のないBCG重症副反応例や非結核性抗酸菌感染症患者の中に, 本経路のサイトカイン, サイトカイン受容体, シグナル伝達物質の遺伝子変異を有する症例が存在することが明らかになってきた. この一連の免疫異常症では結核菌に対する易感染性も認められる. 本稿では, 本邦で初めて見出された常染色体優性遺伝IFN-γ受容体1部分欠損を中心に, IL-12/IFN-γ経路異常症の各病型の臨床像, 病態生理, 遺伝子解析について述べる. また, 肺結核患者を対象としてIL-12/IFN-γ経路の関連分子を中心とした候補遺伝子のスクリーニングを行った結果, 日本人においてIL-12受容体β1遺伝子 (IL12RB1) の特定の多型が結核感受性や結核の重症度に関連していることが明らかになったので, その成績を併せて紹介する.