著者
小林 由実 上田 善博 加藤 邦人 小川 宣子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.17, 2015 (Released:2015-07-15)

目的 天ぷらの「おいしさ」は素材の旨味が保持され、さくさくした衣に覆われたものと評価できる。この「おいしさ」の評価を調理過程の指標から推定できる可能性を澱粉性食品のさつまいもから検討した1)。その結果、調理過程での水分蒸発量が天ぷらの出来上がりに影響を及ぼすことを明らかにした。そこで、本研究は調理過程における素材と衣の性状から調理過程中の水分挙動について検討を行った。 方法 天ぷらはさつまいも(直径46mm、厚さ8mm)に衣4.6g(薄力粉30g:卵水50g)をつけ、180℃の油(日清キャノーラ油)1300gで表裏それぞれ2分揚げて作成した。調理過程の水分蒸発は、油表面の泡の発生状況を高速度カメラで撮影し、油のゆらぎによる画像処理のcontrast値と秤の上で天ぷらを揚げた時の重量減少量の両者から経時的に調べた。あわせて、さつまいもと衣の調理過程中の性状変化を水分量、グルコアミラーゼ法による糊化度、走査電子顕微鏡像から調べた。結果 油面の泡の発生量はさつまいも投入1秒後と17秒後に多くみられ、これは水分蒸発量ともほぼ一致していた。さつまいも投入1秒後は主として衣から水分が蒸発し、17秒後は衣からさつまいもへの水分移動が見られ、合わせてさつまいもの細胞破壊が見られたことから、この時間は糊化が始まる時ではないかと推定した。[文献]1)小林他:日本家政学会第66回大会研究発表要旨集、p70(2014)

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