著者
金 明秀
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.36-53, 2015-06-25 (Released:2017-09-22)
被引用文献数
1

近年、日本でもマイノリティへのヘイトスピーチなどを特徴とする極右運動が問題視されるようになったが、それを下支えする社会的態度だと考えられている排外主義について、計量的なアプローチを用いて規定要因を探索的に特定することが本稿の目的である。データは2012年に「外国人集住都市会議」に加盟する自治体の有権者を対象に郵送法によって実施された調査である。分析モデルを構築するにあたっては、多数の態度概念を媒介させることで、社会構造上の位置をあらわす変数と従属変数の共変関係の「意味」を精緻に特定する社会意識論のフレームを用いた。分析の結果、次の3点が明らかになった。すなわち、(1)排外主義の形成に直接作用する社会構造変数はみられず、社会意識が媒介するかたちで排外主義が変動する、(2)排外主義を直接的に押し上げる最大の要因は同化主義である。同化主義は年齢が高いほど強い、(3)排外主義を直接的に抑制する要因は一般的信頼である。一般的信頼は社会的ネットワークの幅が広いほど高く、社会的ネットワークの幅は教育達成が高いほど広い。以上の発見に基づいて、社会全体の統合や秩序を毀損する排外主義を抑制するためには、「多文化関係資源」とでも呼びうる希少資源が重要であること、また、「多文化関係資源」の価値を再評価し、資源を再生産するシステマティックな取り組みが必要であることを論じた。

言及状況

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日本における排外主義の規定要因 : 社会意識論のフレームを用いて https://t.co/45GIDfzhCR 一般的信頼低いと(「安心社会」だと?)排外主義強まる傾向あるのね、やっぱり
ぼくはかつてこう書きました >「単一民族国家」とは、民族的マイノリティが存在しないことを理想視する概念である。 https://t.co/SXCcnsBgH7 https://t.co/D4Ow4MdKyk
読めばわかります。 https://t.co/AdPOMlyqhz https://t.co/Ra7HI3ZYow
この論文、「計量屋さん以外にもわかりやすく」を目標に書いたつもりだったんだよね。で、今年、2年生の講読でためしに使ってみたところ、4週間もかけてまだ最初の6ページしか進んでない。「文章の意味を正確に理解しようとすると◯◯の知識が必要」みたいな箇所が多すぎて。 https://t.co/N6oDF3aoZ0
@Fumiaki_Taka ちなみに、これの注26とはぜんぜん違う概念? https://t.co/SXCcnsBgH7
この論文も誤字脱字がホント多くてね。もうなんか、自分には校正の機能が備わっていないんだろうなと。/J-STAGE Articles - 日本における排外主義の規定要因 : 社会意識論のフレームを用いて https://t.co/N6oDF2SNAq
日本における排外主義の規定要因 金明秀 https://t.co/ckauyVzauJ

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