著者
秦 正樹
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.1_166-1_188, 2022 (Released:2023-06-16)
参考文献数
38

本稿は、ドラマにおける架空の政治劇の偶発的な視聴が、実際の政治空間に対する不信感に対して、なぜ・どの程度投影されるのかについて、ドラマ「半沢直樹」(第2クール)をテーマとしたサーベイ実験を通じて検証した。従来、テレビが有する政治的効果に関する研究は、政治報道など「政治性がある」ことを前提としたコンテンツを中心に検討が進められてきた。しかしこのような研究では、選択的接触などの問題があって、テレビ→政治的態度の明確な因果効果の検証はなされてこなかった。そこで本稿では、極めて高い視聴率を誇る「半沢直樹」において偶然に接触した政治家像が、現実の政治的空間にも影響を与えうるとの仮説を立てて、その検証を行った。実験結果より、「半沢直樹」で描かれる「悪い政治家」への接触は、現実の政治世界における政治家への不信感をも喚起していること、ただし政治的無関心層では、逆に「半沢直樹」の視聴が政治家への信頼感を高める効果を有することが明らかになった。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (6 users, 6 posts, 11 favorites)

フィクションの世界でたまに“良い政治家”な登場人物がいても、あくまで悪い政治家が多数というステレオタイプの中でサブタイプ化されてるような気がして そういえば秦先生のこちらすごく面白かったんですが、そもそも半沢直樹観てないからよく分からないところもありまして… https://t.co/5D5v1GfNLF
フリーになってた ドラマにおける「悪い政治家像」は現実政治にも投影されるか? ―「半沢直樹」を題材としたサーベイ実験より 秦 正樹 https://t.co/BxmzLnWUzw

収集済み URL リスト