著者
原田 勇希 久坂 哲也 草場 実 鈴木 誠
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.627-641, 2020-03-30 (Released:2020-04-15)
参考文献数
48
被引用文献数
1 1

学校教育においてメタ認知能力の育成は重要視されており,理科教育学においても個人のメタ認知能力を測定するための質問紙が開発されてきた。一方,近年の研究によると,質問紙法などの自己報告による測定方法(off-lineメソッド)では,メタ認知の測定は難しいことが指摘されている。本研究ではこれまでに開発された理科教育用メタ認知測定尺度が,真にメタ認知を測定できているかを確かめるため,その収束的妥当性と弁別的妥当性を検討することを目的とした。研究の結果,メタ認知測定尺度と理科の学業成績(全国学力・学習状況調査)との間に実質有意味な正の相関が確認できなかったことから,収束的妥当性は認められないと結論づけた。また自己愛傾向や社会的望ましさ反応バイアスとの確かな正の相関が確認されたことから,弁別的妥当性は認められないと結論づけた。以上の結果をもとに,現在の理科教育学におけるメタ認知の測定方法の限界と今後の方策について考察した。

言及状況

外部データベース (DOI)

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https://t.co/dTypVjXWwk 理科授業におけるメタ認知を測定するoff-lineメソッド(質問紙調査)では,学力との相関が見られなかった メタ認知を質問紙調査で測定しようとしても実態を捉えることが難しいということ メタ認知を捉えようとするならば,そのときその場で捉えていく0n-lineメソッドが必要
【論文】原田他(2020) 理教研/これまでの理科教育学の研究で用いられてきた3つのメタ認知尺度は、学業成績との間に意味のある関連がみられず、「自己愛」や「社会的望ましさ」との間に関連がみられており、収束的妥当性も弁別的妥当性も認められない可能性が高いと指摘。https://t.co/BlTO6ulcpq https://t.co/2ZCAOBN0KD

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