著者
山本 仁志 石田 和成 太田敏澄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.29, pp.147-152, 2004-03-17
参考文献数
6

インターネット普及によって,消費者間オンライン市場という新しい取引形態がもたらされた.しかし,ネットワークを介したコミュニケーションの特性として,匿名性や参加離脱の容易性があるため,参加者には貢献することなくサービスを受け取りたいという誘引が働く.また一方で,ネットワーク上では,三課のためのコストや情報投入のコストが低いことから,利他的な行為をもたらす誘引も働く.オープンソースコミュニティなどが一例である.こうした環境下で,非協調行動を抑制するメカニズムとして,参加者相互が取引相手を評価し,その結果を評判として共有する評判管理システムがある.我々は,先行研究において,囚人のジレンマの枠組みでオンライン市場をモデル化し,シミュレーション実験をおこなった.その結果,オンライン市場では,ポジティブ評判管理システムが協調行動を促進することを示した.本論文は,囚人のジレンマを表現する利得行列に対して,「誘惑」「貢献」という二つの指標を提示することで,取引される財の特質を議論することを可能にした.更にシミュレーション実験により,オンライン市場では物財の取引にはポジティブ評判システムが有効であり,情報財の取引では,ネガティブ評判システムが有効であることを示した.This paper discusses the effectiveness of sharing information concerning the reputations of buyers and sellers making online transactions in a consumer-to-consumer (C2C) marker. We developed a computer simulation model that describes online transactions with a reputaion managemant system that shares information concerning the reputations of consumers. The model take an agent-baed approach in which agents' actions are based on the iterated prisoner. No model exists to analyze C2C markets even though these are many case studies concerning the sffectiveness of sharing reputation information among participants in a market. The simulation results revealed that a positive reputation system can be more effective than a negative reputation system for an online transaction, eve though the negative one can work for a traditional transaction. The result should be an important consideration when designing practical reputation management systems for online transactions.

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? 評判管理システムの可能性:C2C取引の人工市場モデル(山本 仁志ほか),2004 https://t.co/JJ5Cx92VeO

収集済み URL リスト