著者
平澤 真大 小川 祐樹 諏訪 博彦 太田敏澄
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.214-222, 2013-01-15

ニコニコ動画等の動画共有サイトでは,多くの人が興味を持つ価値ある動画が日々蓄積されていく動画の中に埋もれていると考えられる.このような埋もれている動画の発見は,ユーザに新たな話題を提供し,ユーザ間のコミュニケーションを促進させると考える.そこで,先行研究におけるノベルティ(知らなかったが,推薦されて興味を持つ)の定義に基づき,本研究では,「社会(集団)的に未知であるが,推薦されて興味を持つ」動画をソーシャルノベルティ(Social-Novelty)のある動画と定義し,発見することを目的とする.我々は,分析により「もっと評価されるべき」タグがソーシャルノベルティのある動画の判定に活用できることを確認している.また,先行研究の整理により,動画を特徴付ける特性として,コメント特性,動画内容特性,視聴行動特性の3特性が存在していることを確認している.「もっと評価されるべき」タグが付けられた動画を集団にとってノベルティの高い動画であると考え,この3特性を特徴量として,ソーシャルノベルティのある動画をSupport Vector Regression(SVR)を用いて発見する手法を新たに提案する.評価実験を行った結果,多くの人が未知かつ興味を持つ動画を発見できること,高い興味を持つ動画を発見できることを確認した.In NicoNico Douga, many video contents that many people are very intersting is buried in increasing video contents. Discovery of such videos recommends users with new topic, and communication between users is more promoted. Then, based on the definition of the novelty (Not known, but interested) in precedence research, we define Social-Novelty as "In social not known, but intersted" and try to recommend users it. By analysis, we checked that the tag which "would be higher rated" can utilize for the judgment of Social-Novelty videos. Moreover, as the video characteristic, it checked that the 3 characteristics of the Comment-Characteristic, the Content-Characteristic, and Audience's behavior-Characteristic exist by arrangement of precedence research. We proposed that "would be higher rated" tag and the 3 characteristics in Support Vector Regression (SVR) can discover Social-Novelty videos. To evaluate our proposed algorithm, the results showed the videos were not known but were interesting by many people and higher levels of interseted videos.
著者
山本 仁志 石田 和成 太田敏澄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.29, pp.147-152, 2004-03-17
参考文献数
6

インターネット普及によって,消費者間オンライン市場という新しい取引形態がもたらされた.しかし,ネットワークを介したコミュニケーションの特性として,匿名性や参加離脱の容易性があるため,参加者には貢献することなくサービスを受け取りたいという誘引が働く.また一方で,ネットワーク上では,三課のためのコストや情報投入のコストが低いことから,利他的な行為をもたらす誘引も働く.オープンソースコミュニティなどが一例である.こうした環境下で,非協調行動を抑制するメカニズムとして,参加者相互が取引相手を評価し,その結果を評判として共有する評判管理システムがある.我々は,先行研究において,囚人のジレンマの枠組みでオンライン市場をモデル化し,シミュレーション実験をおこなった.その結果,オンライン市場では,ポジティブ評判管理システムが協調行動を促進することを示した.本論文は,囚人のジレンマを表現する利得行列に対して,「誘惑」「貢献」という二つの指標を提示することで,取引される財の特質を議論することを可能にした.更にシミュレーション実験により,オンライン市場では物財の取引にはポジティブ評判システムが有効であり,情報財の取引では,ネガティブ評判システムが有効であることを示した.This paper discusses the effectiveness of sharing information concerning the reputations of buyers and sellers making online transactions in a consumer-to-consumer (C2C) marker. We developed a computer simulation model that describes online transactions with a reputaion managemant system that shares information concerning the reputations of consumers. The model take an agent-baed approach in which agents' actions are based on the iterated prisoner. No model exists to analyze C2C markets even though these are many case studies concerning the sffectiveness of sharing reputation information among participants in a market. The simulation results revealed that a positive reputation system can be more effective than a negative reputation system for an online transaction, eve though the negative one can work for a traditional transaction. The result should be an important consideration when designing practical reputation management systems for online transactions.
著者
諏訪 博彦 梅原 英一 太田敏澄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.117-125, 2012-01-15

Yahoo!株式掲示板には,人々の意見・気持ちが大量に投稿されている.我々は,この意見・気持ちをコラボレーション技術を用いて取り込むことによって,投資判断を支援することが可能になると考える.本論文では,Yahoo!株式掲示板の投稿数および投稿内容が株式リターンと関係しているか明らかにする.そのために,東証1部における投稿数および強気指数によるポートフォリオを構築しFama-Frenchの3ファクターモデルが成立しているかを検証している.その結果,投稿数が最も多いポートフォリオおよび最も少ないポートフォリオ,強気指数が最も強気なポートフォリオおよび最も弱気なポートフォリオでは,超過リターンが存在することを確認している.そこで,投稿数の最上位ポートフォリオと最下位ポートフォリオのリターンの差および強気指数の最強気ポートフォリオと最弱気ポートフォリオのリターンの差をファクターとして追加している.その結果,強気指数ファクターを追加した場合には超過リターンは検出されなかった.これにより強気指数は株価リターンと関係している可能性があると考える.