著者
小池 耕彦 齋木 潤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.585, pp.7-12, 2005-01-17

ヒトの視覚的注意メカニズムを調べるために, 実験心理学では視覚探索課題を用いた研究が行われてきた. 視覚探索課題におけるヒトの探索特性は, 顕著性マップにもとづいて逐次的に移動する視覚的注意メカニズムにより説明が試みられている. 顕著性マップモデルでは顕著性の情報は静的にコードされ, 抑制性タグ付けを利用して顕著性の順序にしたがって注意を移動していると仮定されているが, そのようなメカニズムが, ヒトの行動特性を再現するのに最適であるかは議論されていない. 本研究では, 顕著性にもとづく視覚的注意メカニズムの計算論モデルにより, (1)顕著性情報はどのようにコードされどのように利用されているのか, さらに(2)抑制性タグ付け(inhibitory tagging)は探索効率にどのような影響を与えるのかを検討した. シミュレーションの結果, 顕著性マップにコードされる顕著性情報は多くのノイズを含んでおり, 顕著性の順序にしたがって注意を移動してはいないと考えると, 視覚探索課題の結果をより良く説明できる可能性が示唆された. また, 抑制性タグ付けは探索効率を向上させるような役割ではなく, 注意を移動させる役割だけを担っている可能性が示唆された.

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顕著性に基づく視覚探索 : 顕著性マップの構成と利用メカニズム

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