著者
宮内 哲 上原 平 寒 重之 小池 耕彦 飛松 省三
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-7, 2012 (Released:2017-04-12)

磁気共鳴現象を利用して生体の断層像を撮像するために開発されたMRI 装置で脳活動を計測するfMRI の原理が確立されてから二十年が経った。この間fMRI は、特定の刺激やタスクに対する反応として一過性に賦活される脳領域を高い空間分解能で同定する計測法として用いられ、多くの知見が蓄積されてきた。近年になって、安静時の自発性脳活動のfMRI 信号から、離れた脳領域間の活動の相関を求めたり、グラフ理論により脳全体を情報ネットワークとみなして脳の状態を推定する研究が飛躍的に増大している(resting state network及びdefault mode network)。本稿ではfMRI を用いた脳研究の最近の動向として、安静時の自発性脳活動に関するresting state network及びdefault mode networkについて概説する。
著者
小池 耕彦 齋木 潤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.585, pp.7-12, 2005-01-17

ヒトの視覚的注意メカニズムを調べるために, 実験心理学では視覚探索課題を用いた研究が行われてきた. 視覚探索課題におけるヒトの探索特性は, 顕著性マップにもとづいて逐次的に移動する視覚的注意メカニズムにより説明が試みられている. 顕著性マップモデルでは顕著性の情報は静的にコードされ, 抑制性タグ付けを利用して顕著性の順序にしたがって注意を移動していると仮定されているが, そのようなメカニズムが, ヒトの行動特性を再現するのに最適であるかは議論されていない. 本研究では, 顕著性にもとづく視覚的注意メカニズムの計算論モデルにより, (1)顕著性情報はどのようにコードされどのように利用されているのか, さらに(2)抑制性タグ付け(inhibitory tagging)は探索効率にどのような影響を与えるのかを検討した. シミュレーションの結果, 顕著性マップにコードされる顕著性情報は多くのノイズを含んでおり, 顕著性の順序にしたがって注意を移動してはいないと考えると, 視覚探索課題の結果をより良く説明できる可能性が示唆された. また, 抑制性タグ付けは探索効率を向上させるような役割ではなく, 注意を移動させる役割だけを担っている可能性が示唆された.