著者
横澤 一彦 河原 純一郎 齋木 潤 熊田 孝恒
巻号頁・発行日
2000 (Released:2000-04-01)

高次視覚研究用の実験ソフトウェアと実験データベースの作成を行った。新たな実験環境を実現するにあたり、様々な環境で動作することを念頭に置き、Jaba環境で動作する実験ソフトウェアと実験データベースを作成し、インターネットで公開した。更に、シミュレーション・モデル構築を目指す高次視覚研究を展開した。線運動錯視探索のモデル(Kawahara & Yokosawa,2001)では、探索の誤答率を,線運動がおのおの独立して生起するという仮現運動モデルによって予測した。その結果、様々な状況での探索成績がこのモデルで予測可能であることを確認すると共に、線運動錯視が視覚的注意によって起こる場合と,独立して画面内の複数の位置で起こる仮現運動によって起こる場合があることが示唆された。視覚的選択過程モデル化(Kumada & Humphreys, in press)を試みた結果、従来の認知心理学における反応時間の分析では、正答反応のみが分析の対象として用いられてきたが、誤答の反応時間が、正答の反応時間の分布と比較した場合に極めて有意義なデータをもたらすことを発見し、それらを可視化する手法としてLOC分析(Latency Operation Characteristics analysis)を開発した。パルスニューラルネットワークモデル(齋木,2002)を使って、選択的注意のモデルとして,CrickとKochの提案した視覚的注意の時間タグ付け仮説を実装し,視覚的注意の神経生理学の古典的知見であるMoran & Desimone(1985)の結果をシミュレートした。第2標的への遅延マスキングがない場合にも注意の瞬きが見られる場合があることを実験的に見いだしたので、表象減衰による注意の瞬きモデル(Kawahara, in press)を提案し、第2標的の視覚表象は時間経過とともに減衰することによって、注意の瞬きが起こる過程の説明をした。
著者
鎌田 東二 島薗 進 津城 寛文 河合 俊雄 永澤 哲 井上 ウィマラ 鶴岡 賀雄 野村 理朗 倉島 哲 稲葉 俊郎 古谷 寛治 奥井 遼 林 紀行 町田 宗鳳 棚次 正和 篠原 資明 齋木 潤 金 香淑
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

本科研研究プロジェクトは、「こころの荒廃」から抜け出るための手がかりを瞑想や修行や儀礼や芸能などの「身心変容技法」という宗教的リソースに求め、その意味・意義・機能・はたらき・諸相を明らかにしようとするものである。2016年度は、9回の定例公開研究会(第47回身心変容技法研究会~第55回身心変容技法研究会)、2回のフィールドワーク(2016年6月の東北被災地追跡調査(第10回目目)と2017年2月の天河大辨財天社の鬼の宿・節分祭・立春祭調査)、毎月1度の定例分科研究会「世阿弥研究会」を行ない、その成果をHP:http://waza-sophia.la.coocan.jp/と、2017年3月発行の科研成果報告書『身心変容技法研究第6号』に掲載し、社会発信した。そこで問いかけた諸問題は、①霊的暴力や魔や悪魔の問題、②身心変容(技法)と芸術・芸能との関係、③身心変容(技法)の科学、④身心変容(技法)の哲学、⑤身心変容(技法)と教育、⑥身心変容(技法)と聖地ないし場所などなどの諸問題である。こうして、「身心変容(transfomation of body & mind)」や「霊的暴力(spiritual violence)」や「霊的虐待(spiritual abuse)」の概念を明確にしつつ、その負の局面を分析・考察した。カトリックや禅や瞑想「悪魔」や「魔境」やバランスの崩れの問題が問いかけるとともに、縄文時代の身心変容や古代の洞窟(洞天)が果たした象徴機能や役割やそこにおける諸種の身体パフォーマンスについて考察の目を向け、理論的研究と事例的研究と認知神経科学的な実験的研究の突合せと整理を行なった。
著者
齋木 潤
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.81-82, 2004 (Released:2007-04-13)
著者
小池 耕彦 齋木 潤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.585, pp.7-12, 2005-01-17

ヒトの視覚的注意メカニズムを調べるために, 実験心理学では視覚探索課題を用いた研究が行われてきた. 視覚探索課題におけるヒトの探索特性は, 顕著性マップにもとづいて逐次的に移動する視覚的注意メカニズムにより説明が試みられている. 顕著性マップモデルでは顕著性の情報は静的にコードされ, 抑制性タグ付けを利用して顕著性の順序にしたがって注意を移動していると仮定されているが, そのようなメカニズムが, ヒトの行動特性を再現するのに最適であるかは議論されていない. 本研究では, 顕著性にもとづく視覚的注意メカニズムの計算論モデルにより, (1)顕著性情報はどのようにコードされどのように利用されているのか, さらに(2)抑制性タグ付け(inhibitory tagging)は探索効率にどのような影響を与えるのかを検討した. シミュレーションの結果, 顕著性マップにコードされる顕著性情報は多くのノイズを含んでおり, 顕著性の順序にしたがって注意を移動してはいないと考えると, 視覚探索課題の結果をより良く説明できる可能性が示唆された. また, 抑制性タグ付けは探索効率を向上させるような役割ではなく, 注意を移動させる役割だけを担っている可能性が示唆された.
著者
上田 祥行 齋木 潤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.332, pp.33-37, 2007-11-12
参考文献数
7

視知覚は聴覚入力によって変容することが広く知られている。その一方で、聴覚以外の感覚からの入力が視知覚に与える影響についてはあまり報告されていない。そこで本研究では心理学的逆相関法を用いて、触覚に入力された刺激が視知覚に与える影響を検討した。実験では、視覚に光点刺激を2度呈示し、それと同時に触覚に反力刺激を与えた。実験協力者の課題は、2度呈示された光点刺激のどちらが明るいのかを判断することだった。光点刺激と反力刺激の強さは無相関であることがあらかじめ教示されていたにも関わらず、触覚に強い反力刺激が入力されると、協力者は光点刺激の明るさを実際より有意に強く知覚した。この結果は触覚の入力によって視知覚が変化することを示唆している。