- 著者
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岡野 司
村瀬 哲磨
淺野 玄
坪田 敏男
- 出版者
- 社団法人日本獣医学会
- 雑誌
- The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.11, pp.1359-1364, 2004-11-25
- 被引用文献数
-
2
25
本研究では,犬精液の凍結保存方法を再検討した.4頭のビーグル犬より精液を採取し,混合,遠心濃縮後再度精漿(第3分画)を加えることにより目的の精子濃度を持つ濃度調整精液を作成した.濃度調整精液あるいは原精液を,トリスークエン酸-グルコース希釈液で希釈し,4℃まで冷却し(冷却),次いでグリセロールを添加した同希釈液で2次希釈した.4℃で平衡した後(グリセリン平衡),液体窒素中に保存した.最終精子濃度が一定(1.0×10^8/ml)で最終希釈倍率が2.5〜10倍となるように凍結した場合および最終希釈倍率を一定(6倍)とし,最終精子濃度を0.25〜2.5×10^8/mlとした場合のいずれも凍結融解後における精子性状に有意な影響を及ぼさなかった.一方,0〜26時間の冷却後に1時間のグリセリン平衡をした場合,冷却時間が2および3時間において精子性状が良好であった.また,冷却時間を3時間とし,0〜4時間グリセリン平衡して凍結した場合,融解後の精子性状に有意差は認められなかった.以上のことから,犬精液の凍結保存において,使用した範囲内ではいずれの精子濃度あるいは希釈倍率でも精液を凍結保存できること,および精液の冷却時間を十分に設ける必要があるが,グリセロールの平衡時間は特に設ける必要のないことが示唆された.