著者
葭原 明弘 佐久間 汐子 小林 清吾 宮崎 秀夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.729-733, 1996-10-30
参考文献数
20
被引用文献数
5

よりう蝕リスクが高いと思われる歯牙に実施したシーラントの保持状況および脱落要因について評価した。対象者は,保育園の4歳児から施設ベースのフッ化物洗口法を経験している小学校の1〜3年生,計356名である。Sticky Fissureに咬合面の歯垢付着状況,歯牙の咬合状態,年齢の3指標を組み合わせシーラントの適応を決定した。分析には,シーラント処置を行った第一大臼歯の小窩裂溝,156ケ所を用いた。調査期間は最短で半年間,最長で3年間である。シーラントの保持率は,半年間経過したもので75.9%〜100%,2年間経過したもので69.0%〜96.8%,3年間経過したもので58.6%であった。う蝕は小窩裂溝156ケ所のうち4ケ所にのみ発生した。また,重回帰分析の結果から,処置時の防湿不良がシーラントの脱落に有意に関わっていることが示された。Sticky Fissureを適応条件としたシーラントプログラムの場合,シーラントを処置する際の充分な清掃および唾液からの防湿がシーラントの保持率を高める上で重要な要因と考えた。

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