- 著者
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八木 稔
佐久間 汐子
宮崎 秀夫
- 出版者
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会
- 雑誌
- 口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.3, pp.375-381, 2000-07-30
- 被引用文献数
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フッ化物洗口は,歯のフッ素症のリスクになるかもしれないとして,6歳未満の子どもたちには用いるべきではないとされる場合がある。しかし,日本のようなフッ化物の全身応用がなされていない地域において,そのようなフッ化物洗ロプログラムが歯のフッ素症のリスク要因であるという疫学的な報告はみあたらない。そこで,(1)フッ化物洗口群(非フッ素地区において4歳児からフッ化物洗ロプログラムに参加),(2)天然フッ素群(天然にフッ化物添加された約0.8mg F/lの水を飲用,フッ化物洗口プログラムない,および(3)非フッ素群(非フッ素地区,フッ化物洗ロプログラムない,それぞれの小学校5,6年生を対象に,2〜6歳の間に形成されるエナメル質の歯面領域(Fluorosis Risk IndexのClassification II)におけるエナメル斑の発現について疫学的調査を行った。フッ素性とみなされたエナメル斑の発現については,フッ化物洗口群では,非フッ素群よりも少ない傾向にあったが(オッズ比0.358),統計学的に有意ではなかった。同じエナメル斑の発現は,天然フッ素群では,非フッ素群に比較して有意に多かった(オッズ比3.112)。また,非フッ素性とみなされたエナメル斑の発現は,フッ化物洗口群および天然フッ素群ともに,非フッ素群と比較して少ない傾向がみられたが,統計学的に有意ではなかった。よって,非フッ素地区における就学前4歳児からのフッ化物洗ロプログラムが,歯のフッ素症のリスク要因となるとはいえなかった。