近年、欧州において、その豊かな歴史に育まれた文化的資産を保存するだけでなく経済発展に結び付けようとする試みがなされている。こうした試みは、電子図書館構想として、文化的資産を次世代に引き継ぎ、かつ、かかる資産の欧州全域からの一元的な利用を促進することを念頭に進められてきた。電子図書館という新しい形態の図書館を創設するにあたり、新たな課題として浮き彫りにされつつある法的問題も存在する。本稿では、こうした法的問題のうち、特に孤児著作物 (orphan works) に関する問題にふれながら、EU での審議過程を振り返ることによって、電子図書館構想における EU の著作権政策を概観する。This paper analyzes arguments on the establishment of the digital library in EU, called Europeana, in the context of copyright, especially orphan works.