著者
丸岡 弘 高柳 清美 伊藤 俊一 森山 英樹 木戸 聡史 井上 和久 藤縄 理 小牧 宏一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P3124, 2009

【目的】一般的にストレスマネジメントは、サプリメント摂取や運動などが知られている.しかし、運動などによる酸化ストレス防御系への影響を検討した報告が少ない.そこで今回、実験的疲労動物モデルを用いて運動やサプリメント摂取が酸化ストレス防御系へおよぼす影響について検討した.<BR>【方法】実験動物はWistar系雄性ラット19匹(8週齢)を対象とした.ラットを1週間馴化飼育後に実験1、さらに1週間後に実験2を実施した.酸化ストレス防御系は活性酸素・フリーラジカル分析装置(H&D社製FRAS4)を使用し、酸化ストレス度(d-ROM:酸化ストレス度の大きさ)と抗酸化能(BAP:抗酸化力)を安静時(RE)と終了直後(PO)に測定し、d-ROM/BAP比(RB比:潜在的抗酸化能)を算出した.実験1(重量負荷強制遊泳試験). 試験は水温23&deg;Cの水を張った黒色円筒容器に、体重の6%のおもりを尾部に装着して2回遊泳(初回遊泳試験後30分間の休息)させた.遊泳は頭部が完全に5秒間水没するまでとして、遊泳時間を計測した.実験2. 対象を10時間以上の絶飲食とした3群(A群7例;行動制限なし、B群6例;行動制限あり、C群6例;絶飲食直前にRoyal Jellyを300mg/Kg強制経口摂取・行動制限なし)に区分し検討した.なお、実験に当たっては埼玉県立大学動物実験委員会の承認を得て実施した.統計学的処理は分散分析と多重比較、相関分析、T検定を用い有意水準を5%未満とした.<BR>【結果】実験1. d-ROMはREとPOを比較して有意差を認めなかったが、BAPとRB比では平均16~19%の有意な増加を認めた(いずれもp<.01).またRB比と遊泳時間との間には、相関を認めなかった.実験2. d-ROM平均変化率はREとPOを比較してA群;3%>B群;-1%,C群;-12%、BAP平均変化率はB群;18%>A群;8%,C群;8%、RB比平均変化率はB群;35%>C群;-6%,A群;-10%(いずれもp<.01~.001)となった.<BR>【考察】遊泳試験(実験1)では抗酸化力を増加させたことにより、酸化ストレス度に変化を生じなかったことが示された.つまり、遊泳時間に関連せずに潜在的抗酸化能を賦活させたことが考えられた.実験2より行動制限なしは酸化ストレス度の増加と共に潜在的抗酸化能の減少、行動制限ありでは抗酸化力と潜在的抗酸化能の増加が示された.このことから、行動制限の有無は酸素摂取との関連などから酸化ストレス防御系に影響をおよぼすことが考えられた.さらに、Royal Jellyの事前投与は酸化ストレス度の減少に繋がるが、潜在的抗酸化能に影響をおよぼさないことが示された.<BR>【まとめ】今回設定した遊泳試験では潜在的抗酸化能を賦活させた.また行動制限やサプリメント摂取は、酸化ストレス防御系と関連を示した.

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